MERSが揺さぶる韓国経済
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韓国で最初にMERS(中東呼吸器症候群)の感染が確認されたのは5月20日である。それから1カ月以上が経過しているが、その間に感染者数は182人、死者は32人にのぼった。幸い、感染者数の増加は落ち着いてきており、MERSの感染拡大は峠を越えたようにも見える。
MERSによる影響などもあって、第2四半期のサムスン電子、現代自動車、ポスコなどの業績は下方修正が予測されている。
MERSでもっとも強く打撃を受けている業種は観光産業であろう。数万人に及ぶ中国観光客の韓国訪問のキャンセルで、ホテルをはじめ、商店街は大きなダメージを受けている。
百貨店は25.5%、大型スーパーは5.2%、映画館は54.9%、テーマパークは60.4%と、在来市場は50%~80%の売上減少を経験している。14年の4月に「セウォル号事故」が起きて、韓国経済は内需の不振に喘いでいた。その事故から1年以上が経過し、やっと経済が回復しようとしていたが、今回のMERS感染で韓国経済の内需回復の腰は折れてしまった。特に韓国経済の支えになっている輸出が伸び悩んでいる中での内需不振だけに、その影響は深刻である。
サムスン電子の第2四半期の営業利益の予想額は7兆3,007億ウォンで、先月の予想額である7兆4,714億ウォンより2.28%も下方修正された。期待していたギャラクシーS6、S6エッジの販売が当初の予想を下回っていること、それからアップルがプレミアム市場でますます勢いを増していること、中低価格のスマホでは中国勢の勢いに押されて業績が伸び悩んでいることなどが原因にあるようだ。
韓国の輸出の一角を占めている現代自動車とポスコも第二四半期の業績の下方修正が予想されている。現代自動車の営業利益の予想額は5月では1兆8,710億ウォンであったが、6月になって4.03%も下方修正されている。
その原因としては、中国のような主要市場での競争激化と、新興国での需要の不振である。
それから、ポスコも前月の予想額より400億ウォン下方修正した7,615億ウォンの営業利益が予想されている。主要輸出先である中国の景気低迷と、世界鉄鋼市場の需要減少が原因である。セウォル事故の後、経済成長率は前月対比0.5%が減少したが、今回はセウォル号事故の時より韓国経済にもっと深い傷跡を残しそうだと専門家は指摘している。
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