韓国経済ウォッチ~韓国銀行、今年の経済成長率を下方修正
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国銀行は7月9日、4月に発表した今年の経済成長率の予測(3.1%)を2.8%に下方修正すると発表した。この予測の通りになると、韓国経済の経済成長率は、2012年以降、昨年を除いたすべてで、3%を下回ることになる。
韓国銀行は、内部要因としては、MERS(中東呼吸器症候群)の発生と旱魃を挙げ、外部要因としては、ギリシャの債務不履行による金融市場の不安、中国の株価暴落などにより韓国経済の先行きに不透明感が増してきたと指摘している。
また、IMF(国際通貨基金)も今年の世界経済の成長予測値を従来の3.5%から3.3%に下方修正した。
韓国銀行は、MERSの影響などで落ち込んだ韓国経済を下支えする意味で、先月政策金利を1.5%に引き下げ、今月もそれを据え置くことにしている。中国の株価暴落に、韓国政府は神経を尖らせている。
中国は昨年7%の経済成長をした。しかし、今年の経済成長率は6%台に落ちるかもしれないという予測が出るほど、実は中国経済は内需が伸び悩んでいる。
そのなかで中国政府は、株式市場を活性化させることによって、国営企業が抱えている問題を解決しようとしていた。上海総合株価指数は、今年の6月に最高値をつけたが、その後たったの1カ月間に30%以上、下がる大暴落になっている。
今回の株価暴落は、消費の落ち込みをもたらし、実物経済にも影響を及ぼすことが懸念されている。
この株価暴落が引き金になって連鎖的に中国の内部問題が露呈されるのではないかと経済の専門家は懸念を表明している。韓国は、全体の輸出の約25%を中国に依存している。中国の内需の不振は、韓国の輸出にとっても悪材料になる。実際に今年の上半期の中国への輸出は前年同期対比2.1%減少している。
また、株価暴落が引き金になって中国の不動産バブルがはじけることになると、世界金融危機以上のショックを世界経済に与えかねない。
実際、原油、鉄鉱石などの価格は下がっている。ロシアをはじめ、中国に資源を輸出していた中南米などの新興国経済への影響も懸念されている。韓国経済に影を落としているのは、中国の問題だけではない。緊急救済が決まったギリシャの債務不履行問題はその間かなりのマイナス要因であった。現在のユーロ安は韓国のEUへの輸出に悪材料だし、今のような状況では輸出が伸びようがない。
韓国経済は以前に比べ強くなったことは間違いないし、外貨保有高も十分だが、今回のように同時並行的に悪い材料が出てくると、韓国経済はかなり厳しい状況になりかねない。関連キーワード
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