韓国経済ウォッチ~中国、パネル生産能力で韓国を追い越す!?
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
世界のテレビ市場の低迷を受け、今年日本と韓国、それから台湾のディスプレイ事業の業績は芳しくない。これに対し、世界市場での中国ディスプレイメーカーの地位は日増しに強固になりつつある。
そのようななかで、市場調査機関HISでは、来年、中国メーカーのディスプレイ生産能力は韓国のそれを追い越すことになるだろうと発表している。中国メーカーの現在の生産能力は、韓国メーカーの86%の水準であるが、来年には韓国の生産能力を追い越し、120%に達すると予想している。中国政府は、2010年にLCDパネルを新興戦略産業に指定し、産業を育成するために莫大な投資をすると発表した。中国政府の支援の下、中国のディスプレイメーカーは、パネルの生産拡大に向けて積極的に動き出した。中国の場合、生産を拡大しても国内市場の需要でそれを吸収してくれるので、供給過剰になりにくく、メーカーは果敢に投資できる側面もあった。
中国政府は、15年をメドにディスプレイの自給率を80%に引き上げるという目標を設定し、関連企業の育成に力を入れてきた。その結果、15年のディスプレイの生産量は、10年と比較して9倍も成長した。
中国のディスプレイ最大手の京東方科技集団は、月産生産能力枚数9万枚の第8世代のディスプレイ生産ラインを河北と重慶に敷いているし、華星光電は深センに月産13万枚の工場を建設している。サムスン電子、LG電子は中国メーカーの躍進に対し、どう対処していくのかを苦心している。
韓国企業は、既存製品での価格競争だけでは中国企業に勝算がないので、新技術を開発し、それで差別化を図る戦略をとろうとしている。たとえば、曲面テレビや有機ELは、まだ中国企業との技術差が存在しているので、それを持って優位性を確保しようとしている。
しかし、新技術を採用したテレビは高価で、市場シェアは現在のところ微々たるものである。サムスンは、曲面ディスプレイとフレキシブル有機ELに、LG電子はプラスチック有機EL、透明ディスプレイに注力していく計画を持っているようだ。価格競争力において、別の問題も韓国メーカーの対応を迫っている。世界最大の市場になっている中国市場で、自国企業を保護するため、中国政府はディスプレイの関税率を上げている。この問題を回避し競争力を確保するため、サムスンとLGは中国現地に工場を建設し、歩留まりを上げることで価格競争力を確保しようとしている。
激化している日中韓のディスプレイ戦争から目が離せない。
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