2024年12月24日( 火 )

新たなステージ迎えた再エネの未来(2)

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 2030年、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が掲げる、太陽光発電だけで100GW超、5,700万世帯分の電気がまかなえる時代は来るのか。原発39基分の電気が太陽光だけで生み出せるようになれば、日本のエネルギー自給率も大幅に上がり、海外に依存しない国産電力ができるかもしれない。しかし、太陽光のみならず再生可能エネルギーの普及が進む一方で、ハードルはまだまだある。本シリーズでは新たなステージを迎えた再生可能エネルギーの未来について、現在のトレンドから読み解いていきたい。

険しい地形でも対応できる架台

シュレッターの傾斜地用架台<

シュレッターの傾斜地用架台

 「最近、太陽光発電所の用地を探すのも一苦労だ」。取材するなかで、こう漏らす太陽光発電事業者が増えてきた。業者によっては、以前なら「設置不可」の烙印を押されていた悪条件の土地での案件が、FIT開始直後と比べて3倍の引き合いになったという。
 太陽光バブルにより、多くの事業者が日射量の多い比較的平坦な土地を奪い合った。場合によっては、わざわざ山の木を切り開いてまで土地を確保するような業者も現れ、環境問題を解決するはずの再生可能エネルギーが環境問題を引き起こすという、皮肉な事態を招いてしまった。
 また、FIT価格が下がっていくなかで、土地代を安く抑えてコストダウンを図らなければならなくなったという事情もある。

 そのようななか、太陽光パネルを支える架台の需要も大きく様変わりし、頑丈さや施工のしやすさだけでなく「どんな傾斜地でも対応できる」というのが、売り文句の1つに加わった。
 たとえば、兵庫県の(株)大辰が、「DSパーク」という大型の自社太陽光発電所を作った。敷地約7,000坪に対し、従来工法なら傾斜地もあるため有効敷地面積は5,000坪、出力1.3MW程度しか設置できなかった。ところが、同社は出力1.86MWの設置に成功したのだ。同社は、もともと建設現場で足場を組むところからスタートし、橋梁工事まで手がけられる技術を身に付けた。そこから独自の太陽光発電用架台の開発に取り組み、単管パイプ工法で、施工現場で必要に応じてパイプをカットできる架台の開発に成功した。
 また、ドイツの架台メーカーのシュレッターも、傾斜地用架台に取り組んできた1社だ。1968年創業で、太陽光発電用架台には96年から取り組んでいる。同社が新製品として日本向けに東西傾斜型の架台を発売したのは14年のこと。太陽光パネルは南傾斜型で南向きの平坦な土地に設置されるのが一般的だが、同社製品なら東西方向に35度まで傾斜させられるので、丘の上でも設置できる。
 さらに、打ち込む杭がΩ(オメガ)のかたちをした「オメガ型」を独自開発。不安定な土壌でも設置でき、架台設置のための造成も必要もないため、導入コストを大幅に削減できるというのが売りだ。
 こうした傾斜地用架台は、たとえば使わなくなったり、建設途中で頓挫したゴルフ場のような広大な傾斜地で威力を発揮する。たとえば、今年5月に竣工した、健康食品会社のサニーヘルス(長野市)が福島県須賀川市の「サニーソーラー福島中央発電所」として竣工した。太陽光パネルの出力は26.2MWに達し、稼働済みのメガソーラーとしては東北地方で最大規模となった。
 平坦地の架台技術はすでに熟しており、今後は傾斜地用架台が普及していく段階に入ったと言えよう。

(つづく)
【大根田 康介】

 
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