新たなステージ迎えた再エネの未来(3)
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2030年、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が掲げる、太陽光発電だけで100GW超、5,700万世帯分の電気がまかなえる時代は来るのか。原発39基分の電気が太陽光だけで生み出せるようになれば、日本のエネルギー自給率も大幅に上がり、海外に依存しない国産電力ができるかもしれない。しかし、太陽光のみならず再生可能エネルギーの普及が進む一方で、ハードルはまだまだある。本シリーズでは新たなステージを迎えた再生可能エネルギーの未来について、現在のトレンドから読み解いていきたい。
厳しい環境下でも耐えるパネル
現在の太陽光パネルは技術も成熟しており、もはや価格や発電効率だけで競う時代ではない。とはいえ、それは比較的安定した条件の土地に設置する場合のことだ。砂漠や海岸、火山地帯や豪雪地帯などではより高い耐久性が求められる。その分、高い技術が必要でコストも上がる。土地が少なくなっている日本において、今後は過酷な土地でも耐えうる太陽光パネルが必要になってくる。
通常、太陽光パネルは表面から順に、強化ガラス、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)、セル(発電層)、EVA、バックシートという5層構造になっている。最近では技術が発達したとはいえ、この裏面のバックシートがアルカリや酸、熱や湿気などに浸食されやすい。
さらに、灰や雪、砂けむりなどがパネルに積もれば、その分太陽光を受ける面積が減り、高圧洗浄などメンテナンスの手間が増える。また、海岸沿いでは塩霧など塩分を含んだ湿気が生じ、太陽光パネルを侵食する。そのため、過酷な土地ではバックシートの損傷、発電効率の低下、メンテナンス費用の増加という課題があった。こうした問題を解決する1つの技術として、両面ガラスパネルが登場した。この分野をけん引している1社が、中国のトリナ・ソーラーだ。1997年に中国で設立され、2006年にはアメリカのニューヨーク証券取引所に株式上場。14年4月~6月期には太陽光パネルの出荷量で世界一となったこともある、太陽光パネル製造のリーディングカンパニーだ。
裏面にバックシートの代わりに強化ガラスを用いているため、耐久性が増す。さらにフレームレスにできるため、ほこりや灰などがパネルとフレームのすき間に堆積することを防ぎ、発電効率を維持できるというメリットがある。フレームレスゆえに飛行機のようなたわみが生じ、圧力を均等に分散でき、いわゆる「マイクロクラック」と呼ばれるセルの微細なヒビ割れも防げるという。また、両面ガラスならセルとセルの間に透明のすき間を作れるため、光が地面まで通せるようになる。そうなると活躍する場は農地にも広がる。
農家の生活を売電収入によって安定させるために、農作物を作りながら太陽光発電ができる「営農型ソーラー」という発電方法がある。だが、農地に架台を設置してその上空にパネルを置くため、日影ができ、農作物の育成が妨げられるのではという懸念もあった。両面ガラスパネルなら、通常のパネルより透光率が高いため、今後同社は農地での利用拡大も狙っているようだ。(つづく)
【大根田 康介】関連キーワード
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