中国・天津の爆発事故、混乱続く
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中国・天津の経済技術開発区「浜海(ピンハイ)新区」で、13日未明に起きた大規模な爆発事故は、17日未明までに死者は100人を超え、けが人は数千人を超えている。
爆発を起こしたのは、危険品化学物質の倉庫を有する「瑞海公司」。爆風で広範囲のマンション等にも相当の被害が出ており、住民1万人以上が避難を余儀なくされた。13日午後に天津市消防が会見を開いたが、説明したのは、規模と被害者の数などの現状報告のみで、「火災原因」については明らかにしなかった。現場倉庫に化学物質を保管しており、国としても公開できない機密レベルの「訳あり」物質だった可能性も見えてきた。台湾メディアでは、爆発は少なくとも2回発生、1回目の爆発の威力はTNT火薬3トン、2回目の爆発は21トン相当だったとも言われる。爆発現場から数キロ離れた場所にもガラスが散乱するなどの影響が出ており、死者、けが人は「発表以上」に存在する可能性が高いと報じている。
爆発当日(13日)の中国中央電視台の全国ネット・夜のニュース「新聞联播」では、トップ項目で爆発のニュースを取り上げた。冒頭で、スタジオの局のアナウンサーが「天津港の瑞海公司で起きた爆発事故で、習近平(国家主席)が重要な指示を出した。火を早く消し、負傷者を救い出し、人民の生命と財産、安全の確保に全力で務めるよう指示している」と、なぜか、習近平氏が主語に来るかたちで、事故を報じた。その後、画面は、一般人が携帯電話で撮影した爆発の様子を映し、救助の模様を伝えた。
情報コントロールに躍起になる中国は、かつてであれば、たとえ民間企業であれ、間接的にでも「国の管理」が問われるような案件に関しては、一切報じず、「なかったこと」にする傾向があった。しかし、最近ではネットメディアやSNSが発達し、「市民が携帯で撮影」→「微博(中国版ツイッター)、微信(中国版LINE)でアップロード」→「国内、海外に広まる」という傾向にあるため、国の報道が「無視」を決め込んだところで、逆に国民の不信感が募るだけだ。今回の爆発でも、「完全隠蔽」ではなく、「核の部分を隠蔽し、習近平氏の事故における指示などの報道にすり替える」という手法を選んでいるようだ。ただ、被害者の家族などが、当局の会見場に詰め寄るなど、なかなか情報を入れてこない政府当局にいらだちを見せている。
中国メディアは、この事故で、警察は会社の責任者を拘束したと報道。中国主要な貿易港の一つである天津港は現在、機能不全に陥っている。
【杉本 尚丈】
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