2024年12月23日( 月 )

韓国経済ウォッチ~北朝鮮の砲撃、一触即発(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

韓国 北朝鮮軍は20日午後4時頃、南北の軍事境界線付近で、2回にわたって韓国に向けて砲弾などを発射し、韓国軍はその報復として北朝鮮側に29発の砲撃で応手したことが明らかになった。
 今回の砲撃は、双方の軍事施設を破壊するとか、負傷者や損害は出していないようだ。しかし、砲撃があった軍事境界線付近の一部の地域には避難命令が出され、住民は避難をしているし、今回の砲撃は韓国の国民には北朝鮮の脅威を改めて喚起させる事件になっている。今のところ韓国の反撃に対して、北朝鮮の砲撃はないようだ。

 北朝鮮は、今回の砲撃は北朝鮮がやっていないと否定している。砲撃から1時間後の午後5時に、韓国国防省に電信文を送り、韓国側が今月の17日から再開した北朝鮮の体制を非難する放送について、北朝鮮体制に対する重大な挑発なので、48時間以内に放送を中止することを求めてきた。もし韓国が要求した時間内にスピーカーを撤去しなければ、北朝鮮は軍事的行動を辞さないということも同時に伝えてきた。
 これに対し、韓国側は北朝鮮向けに心理戦の一環として対北放送を行っていて、これからも継続するという立場をとっている。

 北朝鮮は22日の午後5時まで撤去しないと、軍事的な打撃を与えると脅している。韓国はどのような対応をするのか、また、韓国が放送を中止しない場合、本当に北朝鮮は軍事行動を起こすのかをめぐって、緊張が高まっている。

 韓国は砲撃を受け、大統領主催で、緊急国家安保会議を招集し、あらゆる事態を想定した最高水準の警戒態勢をとっている。いつも口先だけの平和を唱えたことがこのような事態を招いたという反省の声が多く、今回はこれ以上北朝鮮に振り回されないためにも、強力に対応すべきだという意見も多数を占めている。

 北朝鮮は今回の砲撃に先立ち、今月上旬に韓国軍兵士2人が重症を負う地雷を埋設し、韓国と北朝鮮の間の緊張は高まっていた。また、北朝鮮は米韓合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン 」について、戦争を準備することだと非難し、合同演習の中止を求めていたが、米韓はこれを拒否していた。同演習は最近核武装をした北朝鮮による攻撃を想定したもので、今月17日に北朝鮮の反対にも関わらず米韓は予定通り合同演習をスタートさせた。

 このような一連の不協和音はあったものの、北朝鮮が韓国を直接攻撃するとは想定外のことだった。今回の砲撃は、2010年11月の延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件以来のことで、なぜ北朝鮮は最近になって韓国を挑発し続けているのか、その原因と背景が注目を集めている。

(つづく)

 
(後)

関連キーワード

関連記事