人は皆日々暮らし、さまざまな人生を送る 哀れ・気迫・清々しさを実感
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40万円の借り入れ申し込み
60歳まで残すところあと3年、若い時にはラグビーで名を馳せていたA。東京の友人Bから筆者に、Aによる「無心のお願い」レターがメールで転送されてきた。Aの借入40万円の無心先はBの友達である。Bに言わせると、「3回目の申し込みのようだ。1回目は遅れながら返済した実績がある。それ以降は断るように指示している。Aは私の友人には1回しか会っていないのに借入を申し込むとは厚かまし過ぎる」とのことだ。
Bは筆者がAと懇意にしてきたのを知って皮肉も込めてメールを送り付けきたのである。Aが大見得をきって、「事業主になって成功してみせる」と公言したのが2年前のことであった。40万円くらいの借入申し込みをするほど窮しているのだ。哀れなり。
死ぬまで書きたい気迫に感涙する
佐保(仮名)とは40年の付き合いがある。経済事件簿の記事は天下一品。東京に10年間赴任していたので一段と腕前に磨きがかかった。80歳になると免疫力が落ちる。癌は「こうでもか!これでもか!」と畳みかけて全身に転移していく。2年前に亡くなった筆者の姉も肺がんに始まって4カ所にがん細胞が転移していた。佐保のレターを参照されたい。「頭は正常なり。仕事をくれ」との要請には鬼神迫る迫力を感じた。
児玉さんへ
いつもお世話になります。感謝いたしております。
芳しくないお知らせです。私は明日12月1日、●●病院に入院し、大腸がんの摘出手術を受けます。
この1カ月間、あらゆる検査を受診してきました。
特に、主治医が懸念したのが、私が今年2月に心臓のバイパス手術を受けたこと。
大腸がんの手術に耐えうる体力があるか、ということです。そこで、2泊3日、検査入院。心臓の検査を受けました。
前回の手術は異常なしなしと判定。これを受けて、大腸がんの摘出手術が正式に決まりました。
直腸がんは第Ⅲ期、結腸がんは第Ⅳ期。
このまま放置していたら余命1年と診断。手術は12月3日。
腹に穴をあけて腸管を切除した後に、残った腸管をつなぎ合わせ、
人工肛門をおなかに作る。
手術は9時間の予定。
入院期間は、高齢者なので3週間程度を見込んでいるそうです。こういう事情なので、12月の出稿はお休みにいたします。
退院後、体調が戻ったら、ご連絡します。
その際には、よろしくお願いします。私もすでに80歳。身体のすみずみにガタが生じてきました。
頭は衰えてなさそうなので、死ぬまで書き続けるつもりでいます。
児玉さんも、元気で頑張ってください。11月30日
佐保清々しい会食
川南(仮名、67)は上述のAとラグビーで多少顔見知りの間柄である。彼はラグビー仲間の関係を大切にしている。シルバーラグビーの現役である。交流試合には積極的に関わってきた。今年は北海道の大会に参加してきたとのこと。昨年は台湾での国際試合にも参加した。「俺自身も試合に30分間、出場した」と懐かしむ。川南にとって人生のコアはラグビーにある。
会食をした際のことだ。いやー、驚いた。「来年のラグビー世界大会はフランスで行われる。日本チームはニースで戦う。その試合応援の為に段取りした」と聞かされたのだ。「えー!?ラグビー観戦には1年前から準備が必要なのか」と知って驚愕した。現在真っ最中のサッカーワールドカップを観戦するサポーターたちも昨年の今頃にはチケットを確保していたのだと知るにおよんで感動した。川南が付け足していう。「海外遠征に初めて妻が同行します」と幸せな表情であった。
2022年11月30日、「哀れ・気迫・清々しさ」とさまざまな人生を垣間見た1日であった。
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