2024年11月22日( 金 )

PCR陽性妊婦への帝切強要問題を阿部知子氏に報告、有志医師

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 分娩時にPCR検査を義務付け、陽性となった妊婦に帝王切開を強要する医療施設が少なくない。この問題について臨床医2人が12月22日、国会議員会館内に阿部知子・衆院議員=立憲=を訪ね報告した。小児科医でもある阿部氏は経膣分娩により感染率が高まるか疑問視した。さらに阿部氏は、10代の副反応被害が相次いで報告されている新型コロナウイルスワクチン接種推奨について、「生後6カ月からの努力義務はいったんやめるべき」との見解を示した。

 阿部氏に面会したのは、中四国有志医師の会に所属する片山典子(産婦人科)・宜保美紀(小児科)の両医師。紹介者の池田利恵・日野市議が「有志医師の会には現在、全国で1,000名以上の会員がいます。妊婦の問題はぜひ女性の議員さんにお力になっていただきたい」とあいさつした。

(左から)宜保・片山両医師の話を聞く阿部知子議衆院員
(左から)宜保・片山両医師の話を聞く阿部知子議衆院員

 阿部氏はPCR検査に一定の意義があるとの見解を示しながらも、「出産時にどうなっているのか、気になっていた。ワクチンによる血栓形成が見られるが、妊娠中に打つことのリスクは」と説明を求めた。

 片山医師は、2022年5月5日までの調査をまとめた日本産婦人科学会(日産婦)誌のデータを提示。ワクチン接種による重症化率はCOVID-19による重症化率より低いが、絶対数ではワクチンによる重症者の方が上回っている。「ワクチン接種による子どもへの影響は分からず、必ずしも妊婦に打つことを勧めていいものではないと、有志医師の会では動いている」と説明した。

 分娩の現状については、多くの施設では妊婦に風邪症状があった場合にPCR検査を受けさせるが、施設によっては分娩入院時、全員にPCR検査を義務づけ、陽性であれば無症状でも帝王切開にすることが実際起きていると説明。「完全に医学的な根拠にかける帝王切開が実際行われているのは問題」と指摘した。さらに、コロナ患者受け入れ病床数の関係から、他院への転院を余儀なくしたり、新生児のみ他院へ搬送される事例があることも報告した。

 日産婦が21年12月20日に出した通知に「帝王切開とするか、経腟分娩にするかは臨機応変に対応することが望ましい」「分娩管理時間の短縮を目的として帝王切開を施行している施設は多く、一方で人材や環境の確保などが得られる施設であれば、経腟分娩も選択肢となり得ます」などの文言があることを挙げ、「臨機応変と言っても、このように書かれると、安全安心を考えると帝王切開にせざるを得ない」と問題視した。

 阿部氏は「経膣分娩で時間がかかったとしても、感染率が高いかどうかは何も根拠がないわよね」と同調した。片山氏は日産婦による解析データを示した。それによれば、陽性妊婦967人中、分娩された新生児に陽性が出たのは2例で、いずれも軽症。「国内では、重篤な合併症を引き起こした例は、恐らく発表されてない」と捕捉した。

 妊婦への新型コロナウイルスワクチン接種については21年8月11日、米国・疾病対策センター(CDC)がワクチン接種によって流産などのリスクが高まる懸念は見られなかったとするデータを公表し、推奨に踏み切ったことに追随し、日産婦も同月14日に推奨に転じた。この時点で16.3%だった妊婦の接種率は22年2月の努力義務化を経て、現在は7割を超えている。

 阿部氏は、PCR検査には増幅回数(Ct値)をどう設定するかの問題はあるものの、高齢者の重篤化・死亡を回避する手段になり得るとの考えを示した。そのうえで、「ワクチンを打ったからと言って、まん延を防げない。あるならデータをもって来いと佐原(康之・厚労省健康局長)さんに言っているけど、ろくなものをもって来ない。ないんです。そんなデータ」と新型コロナウイルスワクチンの感染予防効果に懐疑的な見方を示した。とくに、子どもへの接種にまん延防止効果があるとするデータが不可欠だと強調した。

 生後6カ月以上のすべての子どもにも10月24日までに同ワクチン接種の努力義務が課された。宜保医師は10代ではコロナ感染死よりワクチン接種後死亡のほうが多いことや、20年以降で接種が始まる前の0−9歳児の死亡率はコロナ前より低いことを説明した。

 阿部氏は「生後6カ月からの努力義務はいったんやめるべき。きちんと分析する産科医と小児科医がいて心強い」と述べ、政府に方針転換を迫ることに前向きな姿勢を見せた。

 妊婦にPCR検査を求め、応じないと帝王切開を強要する病院がある問題については、谷本誠一・呉市議が22年12月8日に同議会で取り上げている。このような対応を取った病院を所管する茨城県は、PCR検査要請について厚労省からガイドラインが出ていることを盾に取り、厚労省医政局地域医療計画課は「個別の案件にはタッチしない」と逃げている。

 

▼関連リンク
全国有志医師の会
谷本誠一呉市議の報告
阿部知子氏へのインタビュー

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<プロフィール>
高橋 清隆
(たかはし・きよたか)  
 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

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