「良い水創り」で社会に貢献し、協働の輪を広げて未来を創る(前)
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ゼオライト(株)
代表取締役社長 嶋村 謙志 氏1970年の創業以来、一貫して井水浄化システムの開発・提供に取り組んできたゼオライト(株)。地下水を逆浸透膜や限外ろ過膜を用いて浄化し、質の高い水を安定供給するこのシステムは、工場やホテル、病院といった、清潔で安全な水を大量に必要とする施設でとりわけ力を発揮。着実に信頼を勝ち得て業績を拡大し、いまや九州トップの規模に成長している。
時代の波にも翻弄されず、堅実に事業を発展させていくそのパワーの源泉とは。創業者である河村恭輔氏(2020年11月逝去)の志を継ぎ、力強く会社を率いている若きリーダー・嶋村謙志氏に聞く!
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
成功のカギは「お客様の喜び」
──御社は創業以来、半世紀以上の長きにわたり「水」に取り組み、それに関わるさまざまな事業を展開し続けてこられました。その中核である水処理システムは高く評価され、いまや全国区のものとなっています。この成功の理由は何だとお考えでしょうか。
嶋村謙志氏(以下、嶋村) そうですね、やっぱり「お客様に喜んでいただいたから」。その一言に尽きるのではないでしょうか。
「喜んでいただいた」とは、まずは私どものシステムの強みである、水道経費の大幅削減に対してです。たとえば、ある食品工場では1日500tの水を使用しますが、これをすべて水道水で調達するなら年間で何千万円もの水道料金がかかります。水道単価の高い地域であれば、それこそ5,000万円は下らない。
一方、私どもの水処理システムは敷地内に掘削した深井戸から揚水した地下水を利用しますから、だいたい2割、いまお話しした例では年間数百万円から1,000万円の経費が削減できます。おかげさまで、地元・九州はもちろん、遠くは北海道まで、日本中の事業者さまからお声がけいただくまでになりました。
──そうした新規開拓もさることながら、導入後のメンテナンスにはさらに力を注いでおられますね。
嶋村 はい。私どものシステムがお客様のお役に立てるとすれば、それは導入していただいた後の、長い月日をかけてできること。納品した機械がいつも、そしていつまでも正しく稼働するよう、月に1回以上保守点検に赴きます。なによりこれは、毎月じかにお目にかかって言葉を交わす、その積み重ねを通じて、各々のお客様との絆を深めることでもあるんですね。
創業者の河村恭輔会長、それに夫人である勝美現会長のお2人は、お客様のことを第一に考えよと、本当にそればかりを従業員に伝えてこられました。私も若いころ、お客様からのお叱りを頂戴したときは、それはもうこってり絞られたものです(泣)。お二方が確立された、システムをそのメンテナンスとセットで提供するというビジネスモデルが事業の継続と発展の礎であることは疑いを容れませんが、やはりそこに「お客様を大切にする」という気持ちが通ってこそなのだと、会社の舵取りを任せられる身になって改めて実感しています。
業種の垣根を越え、叡智を結集
──顧客を大切に思うこと。それは創業者ご夫妻においては、顧客とその大切な人々に「良い水」を提供するというかたちで追求され、実践され続けました。
嶋村 おっしゃる通りです。恭輔会長は地下水を飲用にも適するよう浄化する仕組みとして、もともとは透析などに用いられる技術だった逆浸透膜(RO膜)に注目し40年前から活用した(これは業界でも目新しい、画期的なアイデアでした)わけですが、世の人々のさまざまな営為を根幹から支えるものはなにかと考えることが、その出発点にありました。
それに対する揺るぎない答えとして「安心・安全な水」があり、それを実現するための1つの方策として「良い水創り」があり、さらにそのための技術開発でした。実際、それでたくさんのお客様に喜んでいただいたからこそ、ここまでやってこれたわけですが、今後は水をめぐる諸問題を解決するという点でも、人々のお役に立てると確信しています。
たとえば、日本国内ではいま、水道インフラが破綻している地域が一部あります。浄水場は老朽化して、野ざらし陽ざらしの貯水池に溜まった水に塩素殺菌をほどこして、飲料水を供するという状況が、地方や離島では見られるんですね。そこでは配水管も老朽化し、漏水もあります。劣化した鉛管も少なくありません。地域の人々の健康への影響が気になります。
水というものはやはり、薬品だけに頼ってきれいにするのではなく、水処理できちっと浄化して飲むのが一番良いことです。そして、私どもの技術とノウハウはここで十分力を発揮できる。実際いま、危機感を共有する方々、専門の大学教授や同じ業界の有志の方々と協働して、現状打開のために私どもの技術を活用できないだろうかという話が持ち上がっているところです。
──御社は水道局とは、ある面ではいわばライバルのような関係にありますよね。今後は水道局と協力体制を構築したいと考えているのですね。
嶋村 そういう提案をしていけたらと思います。私どもにとっては新たな領域への挑戦であり、かつ、さらなる飛躍の好機であることはたしかですが、「良い水創り」の事業を通して目指しているのはあくまでも人々の健康。これを実現するために、組織や業種の違いを超えて、たくさんの方々と力を合わせていきたいんです。
日本の「頭脳」はまだまだ捨てたものではありません。それどころか、膜技術や浄水装置をつくる技術は世界トップレベルですし、外国企業に遅れをとっているといわれてきた水道運営にしても、たとえば北九州市のように、着実にノウハウと実績を積み上げているところもあります。すでにある日本の叡智を結集しない手はない──私は心からそう思います。
(つづく)
【文・構成:黒川 晶】
<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:河村 勝美
代表取締役社長:嶋村 謙志
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
売上高:(22/7)35億1,696万円
TEL:092-441-0793
URL:https://www.zeolite.co.jp
<プロフィール>
嶋村 謙志(しまむら・けんし)
1974年1月生まれ。福岡県宗像市出身。西日本工業大学工学部機械工学科卒業後、96年4月にゼオライト(株)入社、メンテナンス部に配属される。取締役部長、取締役常務、専務取締役を経て、2014年に取締役副社長に就任。16年に代表取締役社長となり、現在に至る。法人名
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