2024年12月22日( 日 )

知名度向上中の基山町、職住近接のまちづくり

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ニア福岡というブランディング

 ここ最近、基山町に注目が集まっている。佐賀県に属してはいるものの、福岡市の中心部・博多までJRや九州自動車道の利用で30分程度と通勤圏内にあり、休日は緑を身近に感じられる、のどかな空間で過ごしたいというファミリー層の移住が進む。
 2021年には、基山町にとって実に18年ぶりとなる分譲マンション「トラストレジデンス基山」が誕生(「基山町で18年ぶりの分譲マンション、地方創生の新たなモデルを目指す(前)」)。このほか、北九州の不動産業者・(株)海王による宅地開発など、受け皿となる住まいの整備が活発化している。

観光名所も少なくない:写真は紅葉が美しい大興善寺の契園
観光名所も少なくない
写真は紅葉が美しい大興善寺の契園

    意外と福岡に近い『ニア福岡』な暮らしぶりは、SNSを介した口コミでも広がり、人口誘引効果を発揮。基山町の人口は、22年12月末時点で1万7,536人(基山町公表『人口の推移』参照)まで増加。人気漫画作品『キングダム』の作者、原泰久(はら やすひさ)氏や、人気お笑いコンビ・どぶろっくが基山町出身ということで、漫画・お笑いといったエンタメコンテンツとのコラボ企画にも取り組んでおり、交流人口の拡大につながっている。

物流拠点としてのポテンシャル

 また、九州自動車道と長崎自動車道、大分自動車道を接続する「鳥栖ジャンクション」とも近いことから、物流施設の開発も旺盛だ。
 今月17日には、(同)基山ロジインベストメント(九州電力(株)、九電不動産(株)、(株)九州リースサービスの共同出資。資産管理は(株)玄海キャピタルマネジメントが手がける)の、マルチテナント型物流施設が着工。
 敷地面積は約18,600 m2で、施設の概要は、S造・RC造の地上4階建て(倉庫3層)で、延床面積約20,800 m2。LED照明、人感センサー、節水型衛生器具が採用されたほか、太陽光発電システムの導入など、環境や省エネに配慮することで「Nearly ZEB」の認証取得を目指している。
 設計を(株)梓設計、施工を(株)フジタがそれぞれ手がけており、2023 年12 月の竣工を予定している。

マルチテナント型物流施設外観イメージ
マルチテナント型物流施設外観イメージ

 基山町ではこのほかにも物流施設の開発計画が胎動しており、九州自動車道はもちろん、北九州市~鹿児島市まで通じる国道3号線にも近いという町外への交通アクセスの良さが、民間投資の呼び水となっている。

※Nearly ZEB:省エネ (50%以上)+創エネにより、従来建物で必要なエネルギーの75%以上の削減を実現する建築物。 ^

エミューや〝アイ〟の大きさにも注目

 耕作放棄地対策としてエミューの飼育にも注力しており、基山町としても食品やヘルスケア関連商品など、利活用を促進しており、企業による事業化への挑戦も活性化している(エミュー事業で日本の食と健康を変えていきたい(前))。

左:基山の顔となりつつあるエミュー / 右:まちづくりのスローガン
左:基山の顔となりつつあるエミュー
右:まちづくりのスローガン

 基山町ではベッドタウンとしての特性を生かし、近隣他市の機能を織り込んだ上での、コンパクトシティの強化を目標にまちづくりを行っている。ファミリー層の増加を受け、子どもの医療費の完全無償化など、子育て支援も拡充しており、まちづくりのスローガンとして掲げる「アイが大きい基山町」の実現を着実に進めている。
 佐賀と福岡の境界という立地特性を強みに、職住近接のまちとして発展を遂げようとしている基山町。今後の開発動向が注目される。

【代 源太朗】

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