工藤会ナンバー3に無期懲役、工藤会裁判を振り返る
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工藤会(特定危険指定暴力団、北九州市)が関与したとされる6つの事件について、工藤会ナンバー3の幹部に求刑通り無期懲役の判決が言い渡された。
26日午後、福岡地裁で行われた判決公判において、伊藤寛樹裁判長は組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)などの罪に問われた菊地敬吾被告(50)に対して、求刑通り無期懲役を言い渡した。菊地被告は6つの事件すべてについて関与を否定し、無罪を主張していた。
今回の菊地被告の判決で、工藤会のトップ3が裁かれる裁判の一審判決が出そろった。2021年には、ナンバー1の総裁・野村悟被告(76)に死刑、ナンバー2の会長・田上不美夫被告(66)には無期懲役の判決が下されている。野村、田上両被告は控訴している。
データ・マックスでもこれまで工藤会をめぐる一連の裁判について記事を連載してきた。
工藤会に関する一連の事件と裁判は、一般人への襲撃などを繰り返す凶暴な暴力団の実態に対する関心とともに、裁判そのものについても大きく議論を呼んだ。とくに裁判で注目された「直接証拠なき関与認定」は、今後の刑事裁判において、決して工藤会の裁判のみにかかわるものとは言い切れない。本件裁判は今後控訴審へ進むもので、一審判決がどう評価されるかが重要な問題となる。その点を改めて認識するために、以下に過去の注目記事を紹介したい。
本件では、野村被告から殺人についての指示があったかどうかという点が大きな焦点となった。検察側は直接証拠ではなく、状況証拠の積み重ねのみによって立証を行っており、それを裁判所が証拠として判断(推認)したことが大きな議論を呼んだ。工藤会トップ・野村悟被告に対する『共謀共同正犯』の成立について、小橋総合法律事務所・小橋弘房弁護士に判決直後に法律上の解説を行ってもらった記事を掲載している。
「被告人野村悟氏に対する第1審判決について」21年8月25日
共謀共同正犯の成立によって現役の指定暴力団トップが死刑判決を受けるという裁判は、工藤会以外の暴力団関係者にも衝撃を与えた。近年暴力団の資金源(シノギ)も大きく変化しており、かつてのように組事務所を構え、組員を名乗って活動していた時代とは実態も様変わりしている。お年寄りを標的にした特殊詐欺などへの暴力団あるいは準暴力団(半グレ等)のかかわりも大きな問題となっている。これらの論点について、元朝日新聞編集委員・緒方健二氏に4回にわたる連載記事を寄稿していただいている。
「どうなる暴力団 工藤会トップに死刑判決出たが……(1)」22年1月1日
【寺村朋輝】
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