2024年07月16日( 火 )

話題沸騰のAIチャットボット「チャットGPT」(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

ブレークスルーのAI技術

チャットボット イメージ    2015年にイーロン・マスク氏らが米国で立ち上げたAIベンチャー「オープンAI」が開発したチャットボット(自動会話プログラム)「チャットGPT」は、さまざまな質問に対し、滑らかな口調で、情報を満載した答えを返してくることが話題となっている。AIという言葉は数年前からさまざまな場面で頻繁に使用されてはいたが、日常生活で実感できるかたちで使用された例はあまりなかった。

 ところが、オープンAIが昨年11月末に公開した対話型AIサービス「チャットGPT」は、連日マスコミで話題になっているだけでなく、サービス開始2カ月後にアクティブユーザー(MAU)が1億人を超えるほど、急速に認知されつつある。チャットボットと呼ばれる対話システムは、自然言語処理を用いたサービスの1つ。自分が入力した文の文脈や意味をチャットボットが的確に理解して、最適な回答をしてくれるAI技術で、今後さまざまなビジネスシーンや学習などに活用されそうだ。

 「チャットGPT」は、オープンAIのサイトにアカウント登録するだけで、無料(有料サブスクプランあり)で利用できる。検索エンジンと同様、質問やキーワードを入力すれば、人が書いたような自然な文章の作成・回答をしてくれる。現在は英語のデータが大量に蓄積されているため、英語でのサービスが最も充実しているが、日本語や韓国語など各言語にも対応でき、その精度の高さから世界中の注目が集まっている。

 「チャットGPT」というサービスは、昨年11月末に公開されて以来、連日サーバーがダウンするほど、ユーザーが殺到している。ユーザーの増加スピードが、他のサービスとは比べものにならないほど、早いことも話題である。

 AIが一般の人々にまで認知されるようになったきっかけは、囲碁でAIが人間に勝利して衝撃を与えた「アルファ碁」であった。しかし、人工知能プログラムの「アルファ碁」は囲碁しかできず、「チャットGPT」のように日常生活のなかのさまざまな場面で利用でき、すぐフィードバックしてくれるようなものではなかった。しかし、今回のチャットボットは汎用性があり、今後AIが日常的に使われるきっかけになるのではないかと期待されている。

 さらに、1月23日にはマイクロソフトがオープンAIに100億ドルを追加出資すると発表した。マイクロソフトはクラウドサービスで再起をはたし、業績を伸ばしてきたが、それも一巡し、新たな成長動力が必要な時期であった。

 検索エンジンの場合、Googleが世界市場のシェアにおいて圧倒的で、マイクロソフトの検索エンジン「bing」は遠く及ばない。マイクロソフトの検索エンジンに「チャットGPT」を搭載して、Googleで検索した結果より、もっと精度の高いサービスを展開できたら、検索エンジン市場でGoogleと競合することも可能になる。「チャットGPT」はオープンAIの大規模言語モデル「GPT-3.5」をベースに微調整を加えて誕生している。同社の「GPT-3.5」を他社が活用して開発を進めることも予想されるので、それが1つの収益モデルになるだろう。

(つづく)

(後)

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