韓国経済ウォッチ~中国市場の激震(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
8月中旬に中国人民銀行は、3日連続で人民元の切り下げを行った。それは、為替市場に大きなショックを与えた。それだけでなく、中国の株価は中国政府の介入にも関わらず暴落を続け、世界金融市場は世界同時株安の様子である。
アメリカの株式市場は20日以降4日間で1,680ドルの株価暴落を経験しているし、日本の株式市場も20日以降6日間連続株価が下落し、2週間ぶりに3,000円近く値を下げている。このような現象は、中国のバブル崩壊に起因しているが、中国のバブル崩壊は今後、どのような様子を呈するかに、世界経済は注目している。
リーマン・ショックの後、景気刺激のために中国政府が投入した4兆元の資金が不動産に流入して不動産バブルを形成し、不動産がおかしくなると、そのお金がまた株式市場に流れて株価の上昇をもたらしたが、中国経済の減速とともに、今回のような事態になっている。
市場の最大の関心事は、人民元の切り下げは今後どのようになるのか――ということと、最近マスコミを賑わしている中国の株価暴落は一時的なものなのか、それとももっと悪くなってバブルがはじけてしまうのか――に焦点が集まっている。とくに、韓国は中国に対する経済依存度が高く、中国経済がハードランディングした場合、最も大きな打撃を受けかねない国なので、どの国よりも中国の推移を鋭意注視し、対策樹立に追われている。中国が人民元を切り下げた表面的な理由としては、人民元の価値が下落すると、中国製品のドル表示価格が下がり、輸出競争力が向上する効果が出ることである。それに、同一ドル価格で輸出した場合でも、両替した金額が増加するので、輸出を促進する効果があるので、人民元を切り下げたのである。
人民元の切り下げは、中国の輸出にプラスに作用するかもしれないが、周辺国にとっては悪材料になることは間違いない。中国製品の価格競争力が上がるということは、中国と競争する相手国の製品には、価格競争力の低下を意味する。また自国通貨の切り下げは、輸出は促進することになるが、輸入業者にとっては価格の上昇をもたらし、輸入を抑制する効果につながるので、これも中国への輸出国である韓国などにとっては、悪材料である。
このような状況なので、自国の事情だけを優先した人民元の切り下げに世界各国は憂慮を表明している。とくに、国際通貨基金(IMF)などの人民元に対する評価は、今現在の水準でもかなり低く評価されており、人民元を切り上げるべきところを切り下げたので、アメリカを始め各国のマスコミは懸念を表明している。
(つづく)
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