腐敗の収まらないウクライナ 岸田首相はいいカモにされるかも(前)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸 氏アメリカなどNATO加盟諸国は、ウクライナからの要請を受け、最新鋭の戦車やミサイルの提供を続けており、ウクライナ戦争は出口が見えない状況が続く。ウクライナ、ロシアでも被害者は急増し、ウクライナを舞台にアメリカがロシアと代理戦争を行っているといってもよい状況だ。そんななか、水面下でウクライナ政府に食い込み、「復興ビジネス」で大儲けを狙っているのがアメリカの投資顧問会社であり、その代表格は世界最大の資産運用会社、ブラックロックだ。
主要先進国並みの経済力を誇るブラックロック
ブラックロックは9兆ドルを超える資産を運用しています。ドイツのGDPの倍以上の経済力を誇っているわけです。アメリカの中央銀行にあたるFRBを始めヨーロッパ各国の中央銀行から運用を任されており、その資金は18兆ドルを超えています。
そんなブラックロックが今、最も本腰を入れているのが「ポスト・ウクライナ」ビジネスです。昨年から本年にかけ、ウクライナ政府との間で「復興資金の調達と分配」に関する契約を相次いで締結しています。
同社の創業社長ラリー・フィンク氏は民主、共和を問わず、歴代の大統領と緊密な関係を築き、政権幹部に自社出身者を多数送り込んできました。今やウクライナの経済を牛耳っているのはアメリカからの財政支援と言っても過言ではありません。そうしたアメリカ政府の影響力やお墨付きを背景に、フィンク氏はウクライナに乗り込み、ゼレンスキー大統領との間で「復興計画」を取りまとめるという荒業を見せています。
アメリカ政府は軍事物資の供給に加え、ウクライナの財政破綻を回避させるために130億ドルの直接的資金援助を展開中です。しかし、ゼレンスキー大統領は「少なくとも1兆ドルは必要」と要求をエスカレートさせています。
日本はこれまでも発電装置など非戦闘物資の提供や経済支援を広範に実施しています。2月中にウクライナを訪問する予定の岸田首相ですが、アメリカからの要請もあり、資金援助を拡大せざるを得ない状況にあるようです。日本に対し、6,000億円とも8,000億円ともいわれるほどのウクライナ財政支援が要望されているとのこと。その推進役がブラックロックと目されています。
同社の強みは運用資金の大きさと政治とのパイプの太さに加え、大手メディアへの比類なき影響力でしょう。たとえば、『ニューヨーク・タイムズ』紙の最大の株主として、その論調や報道に無言の圧力をかけることができます。日本を含め、国際世論を巧みに誘導し、ウクライナ支援を正当化し、「復興事業」への融資を世界中から集めようとしています。
ウクライナの腐敗 戦争特需の裨益企業
犠牲者や避難民が鰻登りに増えているのに、停戦や休戦に向けての交渉は一向に進んでいません。戦争が長期化することでおいしい汁を吸えるとほくそ笑んでいる「政治家」や「政商」が暗躍しているからです。日本では「ロシア=悪」「ウクライナ=善」といった、プーチン大統領にすべての責任を負わせるような論調が主流となっています。一方的な軍事侵攻に踏み切ったロシアに非のあることは否定できませんが、ロシアをそこまで追い込んだ欧米側の意図や、それに呼応するかたちで停戦交渉を拒み続けるゼレンスキー大統領にも問題があることも無視できないはずです。そのことを端的に示しているのが、ゼレンスキー政権の中枢幹部の腐敗と汚職といえるでしょう。遅まきながら1月24日、ゼレンスキー大統領は首席顧問や4人の副首相を含む政権幹部や激戦区の州知事らの大量解任に踏み切りました。
これまでウクライナへの欧米諸国による支援額は2023年に1,000億ドルを超える規模に膨らんでいます。ところが、これらの多くがゼレンスキー政権の幹部によって闇市場に横流しされ、高値で転売され、その一部がリベートとしてキックバックされていることが判明し、今回の大量解任につながりました。
アメリカはウクライナへの支援に際して「物資や資金の透明性を確保し、腐敗の温床にならないように」と条件を付けていましたが、「糠に釘」状態だったようです。ゼレンスキー大統領は商売上手です。アメリカを始め、世界各国から武器の供与と経済支援を勝ち取っています。バイデン政権はすでに1,110億ドルをウクライナに提供しました。
こうした資金の大半はアメリカ製の武器の購入に充てられているわけで、アメリカの軍需産業にとっては願ってもない「戦争特需」にほかなりません。ゼレンスキー大統領もバイデン大統領もWin-Winの関係にあるといえます。
ゼレンスキー大統領のシンボルマークといえば、カジュアルなセーターでしょう。ホワイトハウスでバイデン大統領と会談した時も、その後、連邦議会で演説した際にも、お決まりのセーター姿でした。国内で前線を慰問する際にも、SNSで内外に団結と支援を呼びかける際にも、このセーターを常に身にまとっています。このセーターを製造、販売しているのはウクライナの企業「M-TAC」です。世界15カ国に販売拠点を構築しています。
ゼレンスキー大統領は「ロシアとの戦いに勝利するまで、背広は着ずに、このセーターで戦い続ける」と宣言。世界中のウクライナ支持者たちが、こぞってM-TACの商品を買い漁っています。思い起こせば、14年のマイダン革命で、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領が追放されたときにも、多くの反ロシア派がM-TAC製の軍服や靴などを身に着けていました。
M-TACは週7日、1日24時間体制で生産を続けていますが、増え続ける注文に製造が追いつかないとのこと。同社はほかにも多様な商品を製造、販売しています。ウクライナ軍の軍服なども一手に引き受けており、こちらも「戦争特需」に嬉しい悲鳴を上げているようです。目ざといアマゾンも取り扱っています。
(つづく)
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月自民党を離党、無所属で総務大臣政務官に就任し震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。著作に『イーロン・マスク 次の標的』(祥伝社)、『世界のトップを操る“ディープレディ”たち!』(ワック)など。関連キーワード
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