フジテック、香港ファンドとの大バトルで経営体制刷新(前)
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エレベーター大手のフジテック(滋賀県彦根市)は2月24日、臨時株主総会を開いた。香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが提案していた5人の社外取締役の解任議案のうち、取締役会議長など3人が可決された。オアシスが提案していた新たな社外取締役6人の選任議案は4人が可決された。社外取締役を株主側の提案で解任するのは、日本企業では異例だ。
取締役5名解任の株主提案は3人が可決
フジテックは2月27日、関東財務局に臨時報告書を提出して、臨時株主総会での取締役選任議案の賛否比率を開示した。
【会社提案:第1号提案(取締役2名選任の件)】(賛成割合、決議の結果)
・岩崎二郎(元TDK専務執行役員)・・・・46.01%(否決)
・海部美知(コンサルティング会社経営)・・45.11%(否決)【株主提案:第2号議案(取締役5名解任の件)】(賛成割合、決議の結果)
・杉田伸樹(立命館大学特別任用教授)・・・57.23%(可決)
・山添茂(元丸紅副会長)・・・・・・・・・57.24%(可決)
・遠藤邦夫(元本田技研工業監査役)・・・・49.77%(否決)
・三品和広(神戸大学大学院教授)・・・・・46.79%(否決)
・大石歌織(弁護士)・・・・・・・・・・・50.64%(可決)【株主提案:第3号議案(取締役6名選任の件)】(賛成割合、決議の結果)
・浅見明彦(証券会社出身)・・・・・・・・・・・・46.59%(否決)
・トーステン・ゲスナー(エレベーター業界出身)・・56.77%(可決)
・クラーク・グラニンジャー(元銀行幹部)・・・・・51.82%(可決)
・海野薫(米国弁護士)・・・・・・・・・・・・・・58.74%(可決)
・ライアン・ウィルソン(エレベーター業界出身)・・48.75%(否決)
・嶋田亜子(米国弁護士)・・・・・・・・・・・・・51.10%(可決)
(注)社内取締役に関する議案はない山添茂取締役会議長(元丸紅副社長)は解任
臨時総会は、フジテック株の17.26%を保有する筆頭株主である香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが招集を請求した。創業家出身である内山高一元社長の処遇をはじめとしたカバナンス問題を指摘し、現在フジテックの社外取締役を務めている6人をすべて解任し、自らが提案する6人の新たな社外取締役を選任することを求めた。
一方、会社側はこの議案に反対を表明、現在の社外取締役6人を維持したうえで新たに2人の社外取締役を追加することを提案していた。
臨時総会では、社外取締役5人の解任議案のうち、取締役会議長を務める山添茂氏(元丸紅副社長)は総会を欠席し、不在のまま解任案が可決された。そのほか杉田伸樹氏(立命館大特別任用教授)と大石歌織氏(弁護士)が可決され、解任となった。
新たな6人の選任議案では、米エレベーター大手オースチンの元幹部のトーステン・ゲスナー氏や、米ニューヨーク州弁護士の海野薫氏など4人が可決された。会社側が提案していた岩崎二郎(元TDK専務執行役員)と海部美知氏(コンサルティング会社経営)の選任議案は2人とも否決された。
総会直前の21日、社外取締役で元大和総研専務理事の引頭(いんどう)麻美氏が辞任している。総会の結果を受けて、取締役は岡田隆夫社長など社内3人、解任議案が否決された三品和弘氏など従来の社外取締役が2人、新任の社外取締役が4人の9人となる。社外取締役はオアシス側が多数派を占める。
経営陣の半数近くが入れ替わることになり、経営の混乱は避けられない。
フジテックの2023年3月期の連結決算は、景気の回復基調により、売上高は前期比10.7%
増の2,070億円と増収だが、純利益は35.4%減の70億円と大幅減益の見通し。これも「物いう株主」の不興を買った。フジテックとオアシスの対立の原因は、フジテックの創業家の御曹司、内山高一前社長の問題だった。フジテックの歴史を振り返ってみよう。
(つづく)
【森村 和男】
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