シルバーゲート、SVBの破綻で激震が走る暗号資産業界(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏暗号資産市場への規制を強化
シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因は、米の利上げによるものと思われる。SVBは新型コロナウイルスの感染が始まったころ、利子の安い国債に多くの資金を投資した。しかし、利上げによって国債の価格が大きく下がることによって、債権投資で大きな損失を被ることとなった。
SVBは米国内で資産規模16位の大手銀行で、同行の破綻は世界金融危機以降では、最大規模である。同行の昨年末の資産額は2,090億ドル。米の利上げで主要顧客であるシリコンバレーのスタートアップ企業からの預金が減少し、それを埋め合わせる資金を工面するため、保有中の国債を売却したところ、18億ドルの損失が発生した。
このような事実が知れ渡り、同社の株価は60%以上暴落、取り付け騒ぎにもつながった。シルバーゲート銀行とSVBの両銀行とも、暗号資産市場と深く関わっていただけに、暗号資産市場の低迷が根本的な原因となっているのは間違いない。
2つの銀行が破綻したことで、暗号資産業界の選択肢は限られることになるし、先行きもより暗くなったと言わざるを得ない。銀行の経営破綻以外にも、暗号資産業界には逆風が吹いている。金融業界の新たなリスクになることを恐れ、米国の金融当局は暗号資産市場の規制に躍起になっている。
暗号資産交換業者のクーコインが未登録の証券を売買したとしてNY司法長官事務局から提訴されたほか、米バイデン大統領が暗号資産マイニングに使用される電力に30%課税することを提案するなど、暗号資産に対して規制を強化する方向で市場は動いている。
業界におよぼす影響とは
SVBの破綻で影響を受けているのは、暗号資産業界だけではない。米国のテック企業「ロク」(Roku)は、SVBの破綻で現金預金4億8,700万ドルが引き出せなくなったと開示した。これは同社保有現金の26%を占めるという。またロブロックスなどの企業も、同様に預けた預金が引き出せない状況のようだ。
ステーブルコイン、テラの暴落、FTXの経営破綻、それに今回の2つの銀行の破綻は、暗号資産に慎重にならざるを得ない教訓になることだろう。しかし、その影響がどこまで広がるかは誰にも予想できず、「SVBの破綻が金融危機に飛び火することがないように」と金融当局では警戒している。一方で、「このような規制があっても、暗号資産は絶対になくならず、規制によって市場は正しい方向に進むことになり、むしろ市場には良い効果をもたらすことになるだろう」と指摘する専門家もいる。
変動の激しい暗号資産だけに、値上がりした際、利益が大きくなるのは魅力だが、損失もその分、大きくなるので、むやみに飛び込むのは自制するべきではないだろうか。
(了)
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