原発のプルサーマル発電、玄海・伊方原発で中止
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核燃料の再処理で直面している問題
プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ってプルサーマル発電を行っている原発4基のうち、2基がMOX燃料を使い切るため、プルサーマル発電を中止する見通しとなった。九州電力の玄海3号機は2023年11月、四国電力の伊方3号機は24年7月までの運転となる計画だという。なお、関西電力の高浜原発3、4号機は運転を継続する見込みだ。
日本は、フランスにMOX燃料の加工を委託している。MOX燃料とは、原発で使われた燃料から回収したウランとプルトニウムを天然ウランに混ぜてつくった混合酸化物燃料のこと。使用済み核燃料に含まれるプルトニウムやウランを再び原発で利用する、「核燃料サイクル」を実施するために用いられている。
原発は通常、ウラン燃料を使って発電するが、プルサーマル発電ではMOX燃料を使う。プルサーマル発電を行っている原発は全国で4基あり、政府はプルサーマル発電を増やす計画を推進してきた。
明らかになった原発が抱える問題
原発の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出す「再処理」を日本で行うために、青森県六ヶ所村で核燃料の再処理工場が建設中だ。しかし、六ヶ所村の再処理工場は完成予定の先送りが続き、いまだに完成するメドが立っていない。もちろん、再処理工場は放射能による汚染の問題があるため、六ヶ所村の再処理工場が稼働するのは歓迎されることではない。
使用済み核燃料やMOX燃料にはプルトニウムが含まれる。日本が国内で保管しているプルトニウムの量は21年末時点で約9.3tであり、日本のほとんどのプルトニウムは英国(約21.8t)やフランス(約14.8t)で保管されている(第27回原子力委員会資料より)。
かつてはイギリスにも使用済み核燃料の再処理を依頼していたが、イギリスではMOX燃料加工工場が11年に閉鎖されたため、現在はフランスで加工されたMOX燃料を使用している。そのため、海外からMOX燃料を調達できなければ、プルサーマル発電を行うことはできない。
日本での再処理工場の建設のメドが立たず、海外からMOX燃料を調達できない。この状況が原因で玄海3号機と伊方3号機がプルサーマル発電を中止したことをみると、使用済み核燃料のなかにあるプルトニウムやウランを再利用する核燃料サイクルは事実上、行き詰まったのではないか。
もともと核燃料サイクルを実施することで原発の使用済み核燃料の問題を解決しようとした計画自体に無理があったが、予想されていたことが現実となった。
増加し続ける使用済み核燃料
原発の使用済み核燃料は増加傾向にあり、全国の使用済み核燃料の貯蔵量はウランの量で約19,000tにおよぶ。原発を動かし続ける限り、使用済み核燃料はこれからも増え続ける。今回、原発2基がプルサーマル発電を中止する見通しとなったことで、核燃料サイクルが抱える問題が露呈した。エネルギーを原発に頼るのは無理があることに、もう気づくべきではないだろうか。
加えて、使用済み核燃料を最終的にどう処理するのかという問題は解決していない。原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地の選定で、20年11月から北海道寿都町と神恵内村で文献調査が始まったが、いまだに最終処分場をつくる場所は決まっていない。
もっと安全にエネルギーを生み出せる発電方法は、原発の他にあるのではないだろうか。エネルギー政策の大規模な見直しが求められている。
【石井 ゆかり】
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