2024年08月31日( 土 )

カーボンニュートラルの加速が必要 国連が警告

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国連が強く警告

カーボンニュートラル イメージ    20日、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、地球温暖化に関する新たな報告書を公表した。報告書は、「人間の活動が原因となる地球温暖化によって、世界の一部地域では二度と元に戻らないような被害が発生している」と警告している。

 2015年に採択された「パリ協定」では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という世界共通の目標が掲げられた。しかし、今回、IPCCが発表した新しい報告書によれば、10年以内に地球温暖化を1.5度に抑えるという努力目標が達成できなくなる可能性が高いという。

 国連のグテーレス事務総長は、「人類は薄氷の上にあり、気候の時限爆弾は時を刻んでいる」と危機感を訴えた。

22年の異常気象災害による経済損失

 世界経済フォーラムは、1月の報告書で、22年に異常気象によってもたらされた災害で被害額が30億ドル(約4,000億円)以上となるもの10件あげている。下記の金額は被害額。

1、米国とキューバを襲ったハリケーン「イアン」。1,000億ドル以上。
2、欧州の干ばつ。200億ドル以上。
3、中国の洪水。123億ドル以上。
4、中国の干ばつ。84億ドル以上。
5、オーストラリア東部の洪水。75億ドル以上。
6、パキスタンの洪水。56億ドル以上。
7、欧州・英国の暴風雨「ユーニス」。43億ドル以上。
8、ブラジルの干ばつ。40億ドル以上。
9、カリブ海とカナダを襲ったハリケーン「フィオナ」。30億ドル以上。
10、南アフリカ共和国の洪水 30億ドル以上。

 同報告書は、今後、異常気象を原因としたさらなる経済損失の拡大を防ぐために、温室効果ガスの排出量の削減を加速すべきこと、そのために再生可能エネルギーへの移行に積極的に投資することを推奨している。

 今回の国連の警告は、各国政府ならびに世界の経済界に対して、脱炭素化(カーボンニュートラル)の加速をより一層強く求めるものであり、その要請を受けた政府や機関投資家が、環境に配慮した企業や産業を支援する政策や投資を強化することが期待される。

【寺村朋輝】

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