【佐賀県議選】唐津市・玄海町選挙区は激戦の模様
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統一地方選の1つ、佐賀県議会議員選挙が3月31日に告示され、9日間の選挙戦に突入した。定数37、13の選挙区で争われるが、うち鳥栖市や伊万里市など7選挙区では無投票で12人の当選が決まった。選挙は市民が参政権を行使する重要な機会であり、無投票で決まってしまう議員が3分の1近くにおよぶというのは、なんともやるせない思いである。
その一方で、定数6に対して9人が争う唐津市・玄海町選挙区は激戦が予想される。前回19年は定数6と変わらず立候補者7人、投票率は48.03%。トップ当選は8,286票(絶対得票率7.8%)、最下位当選は6,082票(同5.7%)、落選候補は5,454票(同5.1%)と、絶対得票差2.7%以内に7人がひしめき合って1人が落選であった。
今回立候補する現職6人のうち2人は21年補選で初当選。また、現職の所属は自民4、公明1、共産1だが、今回の各党の公認は自民5、公明1、立民1、共産1、無所属1。自民の公認が5つとなっており、票が割れることが予想され、前回選挙の得票差範囲からして激戦の様相である。
激戦となれば各事務所の雰囲気も違う。数カ所の事務所を取材したが、各事務所で聞いた言葉は、前回投票率の低さに対する危機感であった。激戦の選挙となれば、組織票に上積みするために無党派票が欲しい。よってどの陣営も、「とにかく選挙に行って欲しいとお願いしている。そしてぜひうちの候補に投票してほしい」という意欲がみなぎる。
過去のどこぞの選挙で保守陣営が本音として漏らしたという「投票率は低い方がいい」「無党派層は寝ていればよい」などという「ぬるい」意識はうかがえない。これは選挙権を行使する市民にとって朗報だといえる。
厳しい選挙戦であれば、政策への真剣な意見も盛んに飛び交う。たとえば、佐賀県の山口祥義知事が打ち出した県立大学新設問題。知事が構想を打ち出したところ、いくつかの市町村で誘致に対して反射的に手が上がったが、市町村のそのような安易な動きを批判する声も聴かれた。
「佐賀県は人口が80万人を割っている。とりあえず若者に残ってもらうための県立大学をつくりさえすればいいなどという安易な意識だけで、緻密な戦略を練り上げていなければチャンスを潰すだけだ。学生にとって有益なキャリアになる学部として実際に何を開設するのか。そして佐賀県に人材を根付かせるためには、人材を求める企業との連携が必要となる。学生のアルバイト先が確保できるような、ある程度の商業規模も必要だ。課題は多い」。
若者と選挙権の在り方についても意見が飛ぶ。
「18歳選挙権というけれど、それで本当に若者の政治参加意識の向上、投票率の上昇につながるのか?18歳で選挙権をもらっても、18歳は春の新生活への対応でこの時期は忙しい。初めての選挙で参加できなければ、その後、投票に行かない癖がついてしまうのではないか」。
激しい選挙戦に晒される各陣営は、一日千秋の思いで9日間を過ごすが、そのような思いを現実の政治の活力につなげるためには、市民が積極的に政治に参加することが必要だ。各陣営を訪れて話を聞くだけでも、話し手も聞き手も政治意識は高まる。ぜひ、どこの事務所でもよいので足を運んで、事務所の雰囲気や真剣さ、議論が活発になされているか、説明姿勢がオープンかなどを確認してみてほしい。いろいろなヒントが見つかるはずである。
【寺村朋輝】
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