如何に死に向き合うか(2)ALSに最初はまったく気づかない
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痰が出る、握力が弱くなる
「妻はALSに一体、いつかかったのであろうか?」
そう自問自答するが、発病時期について明瞭な記憶はない。医者は「2019年の夏から秋ころではないか!」と診断している。となると、発症から3年半となる。言われてみれば当時、「握力が弱くなった」と漏らしていたことを記憶している。
治療院に通っていたから、すぐに処置をした。さらに、強い痒みをともなう発疹が定期的に現れるになった。痒み止めの塗り薬だけでなく、お灸も試したが症状は改善されなかった。
「何かの精神的なストレスによって変調をきたしているのかな?」と思ったりした。本人曰く「病気を意識しだしたのは20年11月ごろ。小指が曲がらなくなってきた。また咳が出てきて一晩でテッシュを使い切っていた。このころから表に症状がでてきたと考えている」。
年が明けて、前回登場した精神内科専門家Aに頼んで診断したが21年3月である。診断結論は「血液検査からもMRI検査からもまったく異常は見られなかった」となる(そして再度、22年7月に再診察をお願いした22年7月にシリーズ①での発言となったのである)。
痰に関しては処方箋なし
「痰発生を放置してきたこと」について、筆者はとくに罪悪感を感じている。だからいろいろな病院での検査を行った。が、結果は「何処も支障がない」というものばかり。「この時点で痰発生の根本原因と的確な治療がなされていたのであれば違った展開になっていたではないか」という素人の浅はかさが湧いてくる。
しかし、病名を定められず原因究明がなされなければ打つ手はなく、お手上げ状態なのである。ALS周辺の症状に対してはまったく無策な状態なのだった。
すべての源はコロナ感染
ALS症状のスピードが弛緩からやや速度を速める時期に差しかかっていた時期に、本人も筆者も22年1月にコロナに感染した。これが最悪を招く結果となった。筆者が外部で罹災した。それを妻に移したのである。
筆者は1週間(述べ8日間)、自宅待機で治療をした。妻は病院隔離となり、8日間入院した。この病院に入院した際に食事メニューが合わずにげっそり痩せた。45kの体重が6kg減って39kgに激減した。この現実には筆者も愕然とした。「これは大変な事態になるな」と身震いをした。
8日間で体重6kg減、40kgを割るということは、身体の各部の筋肉をそぎ取ることを意味する。(1)まずは喉元の筋肉が減り喉の空間が狭くなり食べることが難しくなる(人間、いや生物は食べ物を口にできなければやがて生存不能となる)。(2)体重の極減は筋肉を減らし、人間の生存行動力を萎えさしてしまう。たとえばベッドから立ちあがることが困難になってくる。
事実、本人は一度、畳に体ごと降りて、そこから周りの段差を活用して立ち上がるという不便な動きをするようになった。立ち上がるまでの時間が20秒かかるようになった。見るに堪えない状況となった。すべてコロナ感染が原因となったのである。
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