イーサリアム 大型アップデートとその影響は(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏今回のアップグレードはどのような影響があるのか
イーサリアムがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)にシフトしたことにより、イーサリアムを預けて初めて、ネットワークの作業を検証する役割が与えられる。しかし、預けられたイーサリアムは、今まではロックされたまま引き出しができなかった。
現在ロックされているイーサリアムの数は1,800万個くらいで、約340億ドル規模に相当する。これはイーサリアム全体の15%にあたる数量で、その分流通量が減じられていたということになる。ところが、これら1,800万個のロックが解除されると、市場への供給量が急に増えてイーサリアムは暴落するのではないかと懸念する声も上がっている。
しかし、一方では、次のような理由でロックが解除されてもイーサリアムが急に暴落するようなことは起こらないとも言われる。1つ目は、現在ステーキングされている分の60%はまだ損失を出している状況なので、売りに出ることはないだろうというもの。
2つ目に、ブロックあたりの引き出し制限が設けられており、1日に57,600ETHしか引き出しができないため、また、引き出しに数日から数週間ほどの時間を要するため、一気に引き出しが集中して価格が崩れるようなことは起こりにくいとされる。それに、今まではステーキングしても引き出しができなかったためにステーキングの需要は限定的だったが、今回のアップグレードでむしろステーキング需要が増加することもあり得るという。
加えて、イーサリアムは取引が増加するにつれて発行量が減少する仕組みになっているため、イーサリアムの価値は将来的にもっと上がるだろうともいわれる。今回のアップグレードで、市場では短期的には価格の調整があるかもしれないが、長期的にはビットコインの地位を脅かすほどの仮想通貨になれるとされている。
今後イーサリアムETFが承認されることがあれば、機関投資家なども投資しやすくなり、イーサリアムの需要は爆発的に伸びることが予想されている。それに、仮想通貨のベースになっているブロックチェーン技術が進化を遂げつつあるなか、金融不安が叫ばれている現在のような状況では、分散型金融もますますシェアを伸ばし、新しい金融として定着することになるだろう。その新しい金融が発達すればするほど、イーサリアムの需要は伸びていくことになる。
メタバースなども普及してくると、そこで活用されるであろう仮想通貨は新しい需要を生むことになる。そのような来るべき環境を想定し、いっそう使いやすい仮想通貨にするために、今回のアップグレードは実施されたわけだ。仮想通貨の代表格で希少性が高まっているビットコインと、プラットフォームを提供し、仮想通貨のエコシステムを広げつつあるイーサリアムと、どちらが最終的に勝利するのか、その推移も興味深々である。
(了)
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