福岡県議選で運動員買収の疑い、古川忠県議ら逮捕
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福岡県警は27日、4月9日に投開票が行われた福岡県議会議員選挙において、運動員3人に報酬を払う約束を行ったことは公職選挙法違反にあたるとして、現職の福岡県議会議員と、その息子で福岡市早良区選挙区(定数3)から立候補し落選した候補者の2人を逮捕した。今回の統一地方選で、福岡県内での逮捕者は初。
逮捕されたのは、県議の古川忠容疑者(74)と忠容疑者の後継として立候補した、次男で元秘書の古川悠哉容疑者(39)。
2人の逮捕容疑は、父子で共謀し、立候補届出を行う前の1月下旬から3月中旬に、陣営の運動員3人に、選挙運動の報酬として時給1,000円を支払う約束を行った疑い。忠容疑者は、毎日新聞記者を経て、1991年の県議選で早良区選挙区より立候補、初当選し、以来7期務めたベテラン議員。2001年と04年には参議院福岡選挙区にも立候補し、07年に県議として復帰。現在は無所属だが、自民党県議団副会長や文教委員会委員長も務めた保守系文教族議員としても知られる。02年にはNPO法人教育オンブズマン福岡を設立し、初代理事長を務めていた。
悠哉容疑者は、修猷館高校を卒業後、早稲田大学を中退し、GMOカードサービス(株)などを経て、父親の忠容疑者の地盤を引き継ぐかたちで、無所属で立候補した。
先日の県議選で、早良区選挙区は定数3をめぐって、現職、元職、新人の4人による激しい戦いが展開された。悠哉容疑者は、1981票差で県議の座を射止めることができなかった。長年、忠容疑者の事務所として使用され、悠哉容疑者の事務所としても使われた早良区原にある事務所近くには、トップ当選した立憲民主党の県議が事務所を構えており、地元関係者によると、常日頃からライバル意識を強く持っていたという。父・忠容疑者に比べて知名度が低い悠哉容疑者をいかにして当選させるのか、親心の行いであったのかもしれない。しかし、古巣の毎日新聞記者時代、福岡県警担当キャップも務めた忠氏が公選法違反を知らなかったとはいいがたい。
福岡県議を7期務めた忠容疑者は、地元の自民党市議や保守系市民からも信頼が厚かった。19年の県議選では、早良区選出の自民党所属市議が「古川先生は、権力に媚びる人ではない」と小川洋知事を熱心に支援する忠氏を持ち上げた。
コロナ禍で3年行われなかったが、毎年、「新春を語る会」と称して、地元住民や支援者、知己のある自民党市議などが事務所に集まって、新年会を開催していた。大規模なパーティーではなく、忠容疑者自ら手づくりのおでんを振る舞い、ビールを片手に支援者らと語らう姿勢は、地域に根差した保守系政治家の鏡という声が少なくなかった。
忠氏は昨年、福岡県議会(桐明和久議長)の調査で、旧統一教会との関係が指摘されている関連団体の福岡県平和大使協議会や日韓トンネル関係の行事への参加費など計7,000円を、政務調査費としていたことが明らかとなった。SNSや関連団体のホームページなどでも、忠氏が熱心に参加している写真が掲載されていた。
長年、忠氏を支持してきた男性は次のように語った。
「保守政治家でありながら、日本を貶める教義を持つ団体とかかわり、今度は息子の当選のためにカネを渡して運動に従事させる。崇高な保守政治家と思ってきただけに残念でならない」。今回の県議選は、多くのベテラン議員が引退する選挙となった。自民党県議団副会長を務めながら国政に挑戦し、その後は1人会派で自民党に戻ることなく、独自の道を歩んだ忠容疑者。多くの人々の信頼を得ていたものを自ら投げ出した代償は大きい。
【近藤 将勝】
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