2024年11月22日( 金 )

福岡県議会の緑友会、大量落選で解散の危機(後)

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 今回の福岡県議会議員選挙は、各地で保守分裂となり、これまでの県政与党内の関係性に大きなしこりを残すこととなった。なかでも農政連系の会派、緑友会が会派存続の危機にあるという。現状をレポートする。

会議室 イメージ    今回の改選で、当選した緑友会の7人のうち、前出の通り、会長・井上氏は自民党県議団へ復帰し、今回自民公認として戦った永川俊彦氏(大牟田市)は自民入りし、自民推薦で再選した政策審議会会長・江口善明氏(久留米市)と、副会長・神崎聡氏(田川郡)も自民党県議団入りの方向で話が進んだ。江口氏は、KBC九州朝日放送の記者を経て、久留米市議を2期務めた。県議に転じて2012年の衆議院議員選挙に無所属で立候補し、落選。その後、自民党宏池会に所属する国場幸之助・衆議院議員の秘書を務め、15年の県議選で再び県議に返り咲いた。もともと自民党県議団に入会する意向をもっていたが、反対があり実現しなかった。今回入会が認められ念願が叶うこととなった。

 残るは3人となるが、八女市八女郡選出の栗原悠次氏が1人会派として緑友会を引き継ぐこととなった。同選挙区は現在、議長を務める桐明和久氏(自民党)と栗原氏とで2議席となっている。保守分裂で、自治労出身の立民公認候補に議席を奪われる可能性もあっただけに、双方支持者の奪い合いとなり、農政連内も、栗原氏を支持する人と桐明氏を支持する人に割れ、しこりが残るかたちとなった。

「八女市、あるいは筑後地区では通る話でも県議会となると話は別。栗原氏の自民党県議団入りはないですし、桐明議長は次も出る意向だといいます」(八女市議)

 思わぬ影響を受けたのは、栗原氏の父で、八女市議会議員・栗原吉平氏である。市議会議長選挙に立候補する意向であったが、市議選後に保守系議員による会合が行われた際に異論が出て、断念することとなった。

 焦点となったのは、椛島氏と、行橋市選挙区選出の堀大助氏である。議案提出や代表質問が行える交渉会派は5人以上と定められており、会派届出の期限の4月30日までにあと3人をどう集めるのか、調整が行われた。

 白羽の矢が立ったのは、緒方林太郎氏の元秘書の大塚絹子氏(八幡東区選出・無所属)と、鶴林大我氏(中間市・同)、そして、改選前、民主県政県議団に所属していた中村香月氏(久留米市・同)の3人。このほかにも保守系無所属で、鳩山二郎氏の元秘書、横尾政則氏(小郡市三井郡・同)と、苅田町長選にも立候補したことがある冨安正直氏(京都郡)がいる。

 県南のある市議は「緑友会は、吉武県議の力が大きかったです。自民党に行く議員もいますが、行けない議員もいます。椛島氏など残留組は、5人の会派結成を行うべく今必死に動いていると思います」と語った。

 最終的に椛島氏を代表として新政会が結成された。椛島氏、堀氏、大塚氏、鶴林氏、そして中村氏の5名で構成される。なお、横尾氏は自民党県議団入りし、冨安氏は1人会派となった。5月8日に交渉会派の4会派による代表者会議が行われたが、緑友会の名前はそこにはなかった。

 改選前に新聞に折り込まれていた緑友会の県政報告書において、会長・井上忠敏氏は「困難な時こそ他者を思いやる、これこそが世界に冠たる日本人の美徳ではないでしょうか。政治とは弱者のためにある。これが私の政治信条であり、緑友会の政治哲学です」と述べていた。

 政治は数がものをいうが、多くの自治体首長も輩出した緑友会の急転直下を見ると、「政治の世界は、一寸先は闇」という言葉を実感した。

(了)

【近藤 将勝】

(前)

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