2024年12月22日( 日 )

消費増税駆け込み反動で減収、増収店は博多阪急のみ!(後)

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九州の百貨店店舗別売上高ランキング(2014年度)

唯一、増収となった博多阪急の理由

博多阪急<

博多阪急

 九州の百貨店のなかで唯一、増収は博多阪急だ。2011年3月にJR博多駅のターミナル百貨店として開業した博多阪急は、3期連続の増収(12年度0.5%増、13年度8.0%増、14年度4.5%増)。各百貨店が消費増税の影響で売上を落とすなか、博多阪急だけが気を吐いた。

 それでは、なぜ博多阪急が一人勝ちしたのか――。各地の流通地図を塗り替えたのは、JR新駅ビルに進出してきた百貨店であった。JR名古屋駅のジェイアール名古屋タカシマヤ(愛知県名古屋市)、JR札幌駅の大丸札幌店(北海道札幌市)は3期連続の増収店舗だ。
 しかし、博多阪急は満足のいくものではないだろう。福岡市と同じ都市規模の札幌市のJR札幌駅ビルに出店している大丸札幌店の売上高は、2.3%増の613億円。店舗面積は変わりないが、1m2あたりの売上は136万円で、博多阪急の101万円を大きく上回る。博多阪急はデパ地下のお菓子売り場は好調だが、目玉のファッションは苦戦を強いられた。

インバウンド消費で恩恵を受けた岩田屋三越

 日本政府観光局の統計によると、15年1~7月の訪日外国人数は1,000万人を突破し、1,106万人となった。近年のビザ免除や、昨年10月からの消費税免税制度の拡充による買い物需要の拡大が増加要因となった。
 その効果で、日本百貨店協会がまとめた15年4~7月の百貨店の売上高は4カ月連続のプラスとなった。押し上げたのは訪日外国人。中華圏やASEANからの来店客を中心に7月の購買客数は前年同月比1.8倍、売上高は2.5倍増えた。

 しかし、九州の百貨店でインバウンド消費の恩恵に浴したのは福岡地区の百貨店。なかでも岩田屋三越は4~8月の累計で7.6%増を記録した。福岡以外の百貨店は苦しい。17年4月には2度目の消費増税を控えている。百貨店業界の売上が6兆円を割るのは、時間の問題だ。

nobiritu

(了)
【森村 和男】

 
(前)

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