建設業の働き方改革、課題が浮き彫りに~国交省が民間工事を調査
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建設業における「働き方改革」を推進するためには、無理のない工期設定や生産性の改善などが必要と言われている。なかでも、36協定の適用が来年4月に迫っており、労働時間の短縮などの対応も急がれる状況だ。
国土交通省は今年1月に「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(2022年度)」を実施。このたびその結果がとりまとめられ、公表された。そこではさまざまな課題が浮き彫りになっていた。
同調査は主に民間工事について、工期設定にあたっての受発注者間の協議の有無、工期の適正性、工期変更の理由、工期変更にともない増加した工事費の負担、休日の取得状況、働き方改革・生産性向上に向けた取り組みについて調査したもの。建設企業2,182社、発注者42社が回答している。
下請企業ほど厳しい労働条件に
調査結果によると、注文者から提案された工期について、「妥当な工期の工事が多かった」と回答した建設企業が59%と最も多かった。ただ、「妥当な工期」における実際の現場閉所率は「4週4閉所」や「4週6閉所」が多く、「4週8閉所以上」は19%にとどまっていた。
最終的な工期の設定では、「注文者の意向を優先することとし、協議は依頼しないことが多い」の回答が22%を占めた。請負階層別に見ると、下請企業でとくにその割合が高い傾向がみられたという。
さらに、「注文者と協議を行うが、受注者の要望は受け入れられないことが多い」と回答した建設企業のうち、「4週4閉所(未満)」が56%を占めたとしている。
建設工事従事者の残業時間については、技術者の場合は13%、技能者の場合は5%の建設業者が月あたり平均残業時間45時間超となっていた。とくに完成工事高が50億円以上の建設企業においては、技術者の平均残業時間45時間超との回答が35%を占めていた。
「36協定」適用が間近
労働基準法では従業員の労働時間について、原則1日8時間、1週40時間の上限が設けられている。法定労働時間を超える場合には、労働基準法第36条に基づく労使協定を締結し、管轄労働基準監督署への届出が必要とされている。
これを36協定といい、協定を締結すると月45時間、年360時間までの時間外労働が可能となるが、建設業界では天候や資材の入荷の状況、さらには人手不足などにより工程の管理が難しいなどとの理由から、これまで適用が猶予されていた。
ただ、労働基準法が改正され、来年4月から建設業でも36協定が適用されること、違反に対しては罰則が設けられることが決まっている。36協定の適用まで1年を切るなか、建設業界全体で対応を進めているが、公共工事に比べ民間工事でその進捗が芳しくないことが指摘されている。
【田中 直輝】
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