2024年11月29日( 金 )

中国から金を持ち出せない

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 長年、上海で事業を行っている楠田氏(仮名)は同地区にマンションを8戸持っている。そのうち11年間所有していた1戸を売却した。それで儲けた資金を日本へ送金する手続きをしようとしたら中国当局に拒否され、あげくに「このマンションを購入した元手が日本から持ち込んだ資金であることを証明しろ!」といわれたという。氏は元手が日本から持ち込んだ資金であることを証明するのに2カ月もかけて、ようやく資金送金が許可された。氏曰く、「私が現在までに蓄積した資産の半分超は中国にある。この国の成長のおかげで資産を拡大できたことに感謝する。しかし、こんなに厳しい資産移動の規制を継続するのであれば、中国経済の先行きは暗いだろう」とため息をついた。

 株価指標でいえば今年1月からの株価の値上がり率は東京証券取引所において30%超、上海証券取引所では10%超である。中国富裕層の資金が間違いなく日本、海外へ流出している(筆者のところにまで日本投資の相談がきている)。中国政府としては資金流出に関して、自国の富裕層だけでなく海外投資家たちも警戒の対象としているのだ。そのような中国当局の引き締めに対して、中国のカントリーリスクを取りざたする声は確実に広がり続けている。

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