総理待望論浮上の泉前明石市長、野党の旗印になるのか!?(1)
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6月30日付のNet IB記事「総理待望論が出始めた泉前明石市長に立民代表がラブコール」で、これまで夢物語のように語られていた「泉房穂・総理大臣待望論」が、野党第一党の泉健太代表からの出馬要請で現実味を帯びてきたことを記事にした。
その中で筆者は、「秋口にも予想されている次期総選挙で、泉前市長が『明石方式の国政反映(国民負担増なき子ども予算倍増)』を旗印に出馬、野党統一候補になれば、政権交代の実現可能性は一気に高まる」と述べたが、筆者がそのように考える理由となる講演を泉氏はそれに先立って行っていた。
本記事では、6月7日の長妻昭・政調会長主催の時局講演会に招かれた際に泉氏が語った政治への想いを詳細にお伝えする。泉房穂・前明石市長は、12年の市政において子ども予算倍増と10年連続人口増を実現させた後も、明石での成功事例を国政にも広げることを目標として政治活動を継続している。前記事では、そんな“国政変革”の思いを熱く語る泉・前市長に対して、泉・代表がラブコール(出馬要請)を送った様子をお伝えしたが、その記事のなかで、泉氏の国政出馬が現実化した場合に「明石方式の国政反映(国民負担増なき子ども予算倍増)」が旗印になると予測したのは理由がある。それに先立つ6月7日の長妻昭・政調会長主催の時局講演会にも招かれた泉前市長は、「市民負担増なき子ども予算倍増以上の明石市政12年間」について具体的かつ熱く語っていたからだ。
「自治体だけではない。国も変えないとアカン。ほんまにそう思っているのです」
と切り出した泉前市長は、市長になると誓った少年時代の振り返りから話を始めた。「私自身は自分の幼き頃、家が貧乏で貧乏自慢しかできませんけれども、オヤジは小学校を出て漁師をするようなオヤジでした。貧乏でした。その家に4つ下の弟が障害をもって生まれました。ひどい時代でした。障がい者や頑張って働く者に対して、鞭打つような社会だと自分は子ども心に思いました。自分は10歳のときに、こんな冷たい街は嫌だと。自分の故郷をもっと優しい街にしたいと。ほんまに10歳で誓ったのです。私は10歳のときの幼き自分の子ども心の誓いをはたすために、一生懸命勉強もしましたし、政治の道を志し、何とかようやく明石市長になって12年間で明石の街を変えることができた。そういう意味においては、私は10歳のときに誓った『冷たい明石の街を優しくする』『優しい社会を明石から』そう思い続けてきた50年でありました。(会場から拍手)
ただ私自身は『優しい社会を明石から』という気持ちは子ども心からあったのですが、『この明石から』には2つの意味を込めていました。どこの街がしなくても、たとえ国がしなくても自分が故郷・明石で優しい街をつくってみせる。明石から始めるという強い覚悟です。ほんまにそう思って生きてきました。
もう1つあります。『明石から』には、明石から始めるだけではない。『明石から広げる』という意味も込めたつもりです。明石でできることはほかの街でも当然できることだからです。ましていわんや、国でできないわけがない。明石でやってきたことをしっかりとほかの自治体、他の街にも広げていく努力を重ねたい。そして何よりも、国がちゃんとしないといけません。冷たい国の政治を、しっかりと国民に寄り添う政治に変えていく。明石市も日本の一部ですから、これは私自身が明石市民に対する責任としても感じていることです。そのために私は、12年間の明石市でやってきたことをぜひ皆さまにお伝えしたいと思っています」。
泉氏は「冷たい明石の街を優しくする」という10歳の誓いを50年かけてはたした半生をまず振り返り、それから市長時代の12年間で市がどう変わっていったのかを語り始めた。
「おかげさまで明石市は本当に変わりました。分かりやすい数字で説明します。市長になった12年前、2011年当時ですが、明石市もほかの全国の自治体と同じような状況、三重苦にありました。1つは人口減少が始まっていました。2つは財政赤字です。3つ目は駅前の衰退。街はどんどん衰退を続けていました。この三重苦のなかで私は市長になりました。
12年間、市長をやった結果、10年連続で人口増が続いています。しかも人口増割合は、全国の同じ規模の中核市62ある全国のなかで第1位になっています。ちなみに兵庫県下では明石市以外は全部人口減少しています。しかし、私は人口増をしたかったわけではありません。住みやすい街をつくりたいだけだったのです。住みやすい明石をつくったら明石市民は明石を離れなくなりました。それどころか周辺からみんな明石にやってきます。明石市の人気は高まり、明石の人口増は半端ない勢いでした。
財政も完全に黒字化しました。明石市は5つの無料化で有名ですが、あれもこれも市民に対してサービス向上をやっていますが、それでも財政は黒字。貯金が溜まり続けています。要は簡単な話です。市民から預かっている税金をどこに使うかなのです。改めて言いますけれども、今の日本というものはいうまでもありませんが、日本はすでに多くの負担を国民がしています。47.5%といわれるほどの半分近い国民負担率。これはほかの国並みです。他の国と同じように国民は負担している。にもかかわらず、こんなに生活が苦しい。頑張っていないのは国民ではありません。頑張っていないのは政治なのです。国民から預かっている税金をどこに使っているのかというのが問題なのです。
(つづく)
【ジャーナリスト/横田 一】
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