痛ましい事故を教訓に総合的な安全対策を、博多祇園山笠2023
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4年ぶりの通常開催となった「博多祇園山笠」。15日間の開催でのべ300万人を集めたとされ、盛り上がりをみせた伝統行事は、15日早朝に行われたフィナーレ「追い山笠」で死亡事故が発生するという痛ましい幕切れとなってしまった。流の1つ・千代流に舁(か)き手として参加していた秋吉敏実さん(57)が、山車にひかれ亡くなったからだ。
祭り参加者が死亡したケースは平成以降では初めてとのこと。山車を担いで時間を競う「追い山笠」は最大の見せ場で、過去にも参加者が骨折するなどの負傷事故が起きたことがあるという。安全対策のより一層の徹底が求められる。
安全対策については、舁き手など参加者のみならず、沿道に集まる見物客への対策も求められそうだ。追い山の「櫛田入り」の舞台となる櫛田神社境内に特設された「清道」付近では、限られたスペースに多くの見物客が集中し、まったく身動きが取れないほどの状態になるため、転倒事故の発生が懸念される状況であった。初夏の開催であることから熱中症にかかるリスクもある。また、今回から多くの外国人見物客も戻ってきた。緊急事態が発生した場合に言葉の壁が対応の遅れに繋がらないよう、対策を講じておくことも急務ではないか。
コロナ禍を経て通常以上の熱気に包まれた感のあった博多祇園山笠。その傍らで起きた重大事故は、今後の行事の在り方、なかでも見物客を含めた総合的な安全対策について強く問いかける出来事になったように感じられてならない。
【田中 直輝】
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