2024年11月22日( 金 )

塗料の浸透性を高める新技術で、コンクリートに革命を(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

コンクリート イメージ    建設業界に従事している人はともかく、多くの人々にとって、コンクリートのことを知る機会はあまりないだろう。ところが、コンクリートは水に次いで、世界で最も多く消費されている材料の1つなのである。

 日本でも、高度経済成長を遂げる過程で多くの建造物がコンクリートでつくられていった。コンクリートだらけになったといってもいい。それほどまでに、コンクリートは社会において欠かせない材料となっているのだ。

 経済産業省の統計によると、日本では現在、年間約2億トンの生コンクリートが出荷されている。ざっくり計算すると、日本人は毎日4kg前後のコンクリートを消費していることになる。これほど消費されているものがほかにあるだろうか。

 コンクリートは、セメントを材料に、砂や石、それに水を混ぜたものである。これがいまなお、莫大な量が消費されているわけだが、というのも、トンネルや道路、橋梁(きょうりょう)、防波堤、ダムといった構造物から、マンションやオフィスビルをはじめとする各種建築物まで、幅広い用途で活用されているからである。

 たしかに近年の建設工事はコンクリートから脱却しつつあり、セメントもこれを材料にしてつくられるコンクリートも、需要はパブル全盛期の半分程度まで減少している。しかし、経年劣化で傷んだ建物を補修する工事などもあり、需要そのものは堅調だ。現在、日本ではコンクリートの7、8割は生コンクリ―トとして使用される。コンクリートのよいところは、工事現場で所定の型枠に打ち込むことによって、自由なかたちを得られる点にある。

コンクリートの限界

 こうして日常生活に欠かせないコンクリ―トだが、私たちはコンクリートについてあまり知らない。コンクリートは多大な荷重や衝撃を支えるために使われていることが多いため、構造物が崩壊でもしたら、甚大な被害が生じる可能性も排除できない。そのようなことが起こらないためにも、コンクリートのことについて少しは予備知識があった方がよい。

 コンクリート構造物の耐用年数は、短い場合でも30年程度で、一般的には50~60年とも言われている。しかし、現実にはひび割れや亀裂から漏水し、数年後には早くも劣化して問題になるケースも少なくない。それでは、コンクリートにはなぜ、そのような問題が起こるのか。

 コンクリート構造物の劣化には、多くの場合、水が関係している。コンクリートはセメントと骨材の混ぜ物で、拡大して見ると内部が空隙だらけである。その空隙に水が入り込み、コンクリートを劣化させてしまうのだ。したがって、劣化を防ぎコンクリートの寿命を延ばすには、防水が非常に重要となる。

 その他、空気中の二酸化炭素がコンクリート内のアルカリイオンと結び付いて、アルカリ性を中性に変えてしまい、それが塩素イオンの浸入を助長し鉄筋が錆びやすくなるという、中性化の問題がある。日本のように海で囲まれた地域では、塩害などもある。さらに、コンクリート内の水分が氷になることで体積が膨張し、コンクリートを内側から割ってしまうという凍害や、衝撃による表面の摩耗など、コンクリートには不可避の問題がたくさんある。

(つづく)

(後)

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