楽しく有意義なお米選びを おいしいお米がある食卓を支えるために
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(株)カネガエ
安定した経営を基盤に挑戦を続ける
「味の見える化」が導くお米選びコバルトブルーの看板がひときわ目を惹く(株)カネガエ。「真心込めておいしい気持ちと感謝の気持ちをお届けする」という創業精神のもと、福岡八女の地で米殻集荷、加工および販売を主軸に事業展開を続けてきた。
代表取締役社長鐘ヶ江貴光氏は、2013年に事業継承して10年になる。衛生管理の国際基準「HACCP」を取得して、生産管理の見える化を進め、経営の合理化を図るとともに、食の安全性が求められる時代に合わせて、消費者が安心して食卓を囲めるように努力を重ねてきた。
独自の品質基準による「味の見える化」は、さまざまな取り組みのなかでも力を注いできた分野である。これは甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の基本5味に加え、口に入れた瞬間の「先味」、飲み込んだ後も口に残る「後味」を構成する味「旨味コク」「苦味雑味」などを含む11項目で味を表現する、味覚分析法である。お米は同じ品種・産地でもその年の天候などによって味にばらつきが出るため、常に同じ品質を提供することは難しく、職人の経験や技術に頼ってきた。
この味覚分析を導入し、要素をグラフ化することで、店頭で表示されている産地、種類、価格で購入していた消費者が、自分の好みやつくる料理に合うものを選ぶことが可能になった。そして、これらの味覚データを活用した独自のブレンド技術は、同じ味・同じ品質のお米を安定的に供給することにもなり、食料の安定確保というSDGs目標の実現にも貢献している。同社のHP上には、5つ星お米マイスターが、5つの簡単な質問から自分の好みに合うお米を見つけてくれる「お米診断」のページもあるので、ぜひ一度活用してみてほしい。
九州ライスストレージで、
おいしいお米を直接消費者に届ける同社は、新たな取り組みとして「九州ライスストレージ」というサービスをスタートさせた。これは、初めに30kg、60kgの単位で権利を購入後、好きなときに、好きな厳選米を、好きな分づきで、好きな量(3kg、5kg、10kg)を配送してもらうことができるというものだ。アカウントは3名まで共有でき、離れて暮らす高齢の両親や、一人暮らしの子どもと利用することも可能だ。
意識している人は少ないかもしれないが、お米は野菜などと同じ「生鮮食品」であり、精米後に空気に触れると酸化し、劣化が進む。夏は3週間、冬でも2カ月、それ以外の季節は1カ月が「お米がおいしくいただける期間」の目安で、当然ながら精米仕立てが1番おいしい。九州ライスストレージでは、注文を受けるごとに認定工場で精米して出荷しており、常に鮮度が高いお米が届けられることになる。この鮮度を保つために、お米専用倉庫で15度の低温保管、直射日光、高温多湿を避け、密封容器で酸化防止を徹底し、年間を通して食味の変わらない安定したものを届けるように管理を厳格に行う。
さらに、精米レベルを玄米、5分づき米、3分づき米、白米から選べることも魅力である。好みはもちろんのこと、体調や栄養価を気にしながら選択することで、健康な身体づくりにつながっていくだろう。単純計算すれば一見高価に感じるかもしれないが、同じ種類を定期的に送るお米定期便とも違う、さまざまな付加価値があり、お米を持ち運びする時間や重労働からも解放されることを考えると、需要は伸びていくだろう。また、ふるさと納税として利用をすることもできるうえ、贈答用の熨斗もつけられるので、友人などへの贈り物にもおすすめだ。
鐘ヶ江社長は「大量生産、大量消費の時代は終わり、物流の仕組みとともに売り方も変わってきました。かつて米屋しか販売ができなかったお米が、法改正でスーパー等の量販店でも購入可能になり、今ではネットでも購入できるようになりました。ふるさと納税という選択肢も出ています。若い世代の多くの人は現在では店舗でお米を購入しなくなったといわれており、ネットを通じて消費者へ直接届ける仕組みは生き残りの最低条件だと考えています。システムの改良などもまだまだ必要ですが、これまでの枠組みや常識にとらわれず、便利で安心で新鮮なお米を届けたいです」と語る。
人間性が最優先 やる気のある人とともに事業拡大を目指す
何を基準に社員を採用しているかと問うと、鐘ヶ江社長は「人間性」と即答した。面接の際にも必ず口にする言葉だという。
「人間性が高ければ、仕事は時間とともに自然と身につきます。どんな仕事も自分1人でできるものはなく、周囲の人と相談や協力をし合いながら進めていくものです。仕事の成果や過程は当然大事ですが、1つひとつの行動や発言が人としてどうなのか、という視点で考えるといいかなと思っています」と語る鐘ヶ江社長は、世代間の考え方や価値観の違いにもよく耳を傾けながら、きめ細かな指導するよう心がけているそうだ。
同社は地元のつながりを大切にし、安定した経営を続ける企業であるとともに、新しいことにも積極的にチャレンジするというスタイルだ。やる気のある人は未経験でも大歓迎だという。今後は、今までと同様にお米のおいしさを一緒に届けてくれる人はもちろん、九州ライスストレージなどの新しい取り組みを広めていく人、SNSの活用などを専門にする人なども雇用していく予定としている。
現在の売上高の構成比は8割が家庭用やレストランなどの業務用、1割がふるさと納税、1割が焼酎製造などの産業用となっているが、人口減による国内マーケットの縮小にともない、海外輸出やフランチャイズ事業にも挑戦するなど、前向きな姿勢を貫いている。
「事業継承をしてからの10年間を振り返ると大変な時期もありましたし、成長のために思い切った決断をしたこともありました。これからも既存の事業をしっかり維持しながら、新しいことへの挑戦を続けて次世代に託せるように、邁進していきたいです」と語る鐘ヶ江社長と今後の事業展開から目が離せない。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:鐘ヶ江 貴光
所在地:福岡県八女郡広川町大字日吉1227
創 業:1979年5月
設 立:1993年5月
資本金:1,000万円
TEL:0943-32-1415
URL:https://kanegae.net
<プロフィール>
鐘ヶ江 貴光(かねがえ・たかみつ)
1972年11月生まれ、福岡県大川市出身。八女工業高等学校を卒業後、上内電気(株)勤務を経て、2013年3月に(株)カネガエの代表取締役社長に就任。趣味はゴルフ。法人名
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