車載電池市場は半導体市場をしのぐ大きな市場になるのか(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏予想を上回るEV市場の成長
韓国の輸出を牽引している品目は半導体である。半導体は韓国の輸出全体の20%ほどを占めており、これを生産しているサムスン電子は韓国を代表する企業となっている。
ところが、新型コロナウイルス感染症の実質的な収束とともに、米国の利上げ、ウクライナ戦争などの影響で世界経済が低迷。半導体需要は減少に転じた。実際、今年1月から5月までの半導体の輸出は1年前より減少し、輸出全体に占める割合は13.4%に落ち込んでいる。
一方、現代自動車やKIA自動車といった、EVに積極的姿勢を示してきた韓国の自動車メーカーは、自動車産業全体のEVシフトとともに業績を伸ばしている。これにより自動車の輸出額は初めて60億ドルを上回り、自動車は今年3月、輸出1位の品目となった。電気自動車の原価の約40%を占める車載電池部門も躍進を続け、韓国の電池3社の売上高は、いずれも前年比で目覚ましい成長を記録している。
昨年、世界の自動車販売における電気自動車の占める割合は5.8%だったが、2030年には約30%に、2040年には54%に拡大することが予想されている。電気自動車市場が成長すると、合わせて車載電池市場も成長するのはいうまでもない。世界的な電気自動車メーカーであるテスラ社の電気自動車には、スマートフォン5,000台分の電池が搭載されている。今後、電池市場がどれほど大きく成長するか、容易に想像できる。
そもそも従来の自動車はエンジン技術が大事で、このことが自動車製造に参入する大きな障壁となっていた。ところが、電気自動車ではエンジンの代わりに車載電池とモータ―がコア部品となるため、自動車製造の参入障壁は低くなる。とはいえ、車載電池は化学反応を利用する製品であるから、技術の蓄積に長い歳月が要求され、これを生産できる会社は世界的に見ても数社しかない。目下韓国企業が強みとしているメモリ半導体の世界市場規模は200兆ウォンほどであるが、車載電池市場は今後約2,000兆ウォンに成長することが予測されており、韓国の車載電池メーカーはいままさに追い風にある。
現在車載電池の主流となっているリチウムイオン電池は、もともと日本で最初開発されたが、いまは国内に世界市場の半分以上を有している中国企業が頭角を現している。一方、技術的には韓国企業が中国企業を少しリードしているといわれる。
電気自動車市場が本格的に拡大の様相を呈し始めたことで、世界の大手自動車メーカーの動きも活発化している。日本のトヨタ自動車は2030年まで電気自動車に6兆円を投資する計画を発表しているし、米GMも2050年まで350億ドルの投資を計画している。ドイツのメルセデスベンツも2030年まで全車種の電動化を推進している。地球の温暖化を抑制するためにも、電気自動車の普及は今後、ますます拍車がかかるだろう。
(つづく)
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