2024年12月23日( 月 )

【読者投稿】建設業の人手不足について

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 今回は、「建設業の人手不足問題 そのメカニズムと解決の糸口(前)」に寄せられたご意見を紹介する。

 建設業の人手不足の原因について記事では、概ね問題点を取り上げていると思われますが、なぜ低賃金で長時間労働のドツボから抜け出せないのかといえば、単純に転職するにも学がない人が多く容易ではないこと。

 賃金が安い原因は、管理者側の都合と労働者側の都合が円/人工という単位で仕切るのが容易で理解しやすいという点に尽きる。仕事が早く優秀な職人を抱えている会社ほど少ない人工、日数で仕事を収めるのに、人工で計上されると賃金は安くみられる。

 能力の差を無視して1人工いくらでしか計らないので、今日から始めた素人でも、この道30年のベテランでも日給は同じで計算するのがゼネコン・サブコンら元請の魂胆。

 10年も昔ではない以前、週休2日に対するゼネンコンの意見として聞いた話に、【土曜を休みにするなら平日の定時労働時間を10時間にしよう】とか、【人工で仕事をしている職人に休みを増やしたら収入が減るだろう? 我々は彼らの為に仕事をさせてやっているんだ。有難く思ってほしい】というものでした。

 要するにあくまで日当は現状のまま。単に就労日数を減らすだけなので日数が減った分、支払いも減らすという思考。さらに1日8時間分の作業時間が減ると工期が延びるから、定時作業時間を増やして帳尻を合わせるという思考を披露したわけです。

 また聞きの為、正確性には難があるものの、いかにも当時のゼネコンが考えそうなことだと納得したものです。結果としてその草案は実現しなかったので労基辺りに怒られたのかもしれません。

 現在では多少は週休二日制を取り入れる努力が見えますが、賃金の改善はまったくと言っていいほど進んでいないので、月収が年齢万円以上の手取りが実現するくらいにならないと人の確保なんてはるか遠い話のように思えますね。

 嫌な仕事、辛い環境下の仕事は割の良い報酬が最低条件だと思います。変な例ですが、事故や死亡率が4割の仕事に平均的な給与で人が集まるでしょうか? 1割なら集まるでしょうか?ほかの職種なら限りなく0に近いことが、建設業では確実に死傷事故が数字に表れます。

 それなのに待遇が悪いとしか思えない悪条件では人は寄り付かない。現在業界にいる職人は25歳以下なら転職は容易だと思いますが、そもそも存在が稀。30~40代だと仕事を覚えて転職で再スタートが面倒。収入が下がりそうで二の足を踏む。

 それ以上のベテラン勢は転職ではなく失職の未来しか見えない。ゼネコンの好き放題が通用してきた建設業は民から吸い尽くすことに腐心する愚帝のごとくで、業界の未来を自分たちだけの目線でしか考えていない節がある。

 職人を失った建設業界で誰がどうやって実務を行うというのか。そのときになって金をばら撒いても実行する能力をもたない烏合の衆が数だけそろえて右往左往するだけだろう。ゼネコンには何が見えているのだろう。

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