世界で人気を博している韓国化粧品(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏世界的な化粧品会社も
韓国のトレンドに注目2021年の韓国化粧品の輸出額は91億8,000万ドルを記録し、史上最高の記録となった。化粧品は10年連続貿易黒字を記録していて、韓国の輸出増加に大きく寄与している。輸出市場もアジアだけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、中東など全世界に広がっている。世界の100大化粧品企業のうち、4社がソウルに所在している。
韓国の化粧品製造会社は原料の開発から技術の適用まで世界市場をリードしているし、世界的な品質システムを構築している。化粧品製造会社のなかでも、韓国コルマとコスマックスという2社は化粧品受託生産の専門会社として有名である。韓国の化粧品中小企業は化粧品を企画・開発して、製造はこのような会社に委託している。
韓国コルマで生産される1万5,000種類以上の化粧品のなかで、レシピが同一のものは1つもない。このような受託製造専門会社のおかげで、中小企業でも高品質の化粧品製造ができるようになっている。韓国コルマに委託生産をした‘AHC’という会社がある。
同社のアイクリームは2012年から2021年の累積販売数が1億個を超えるヒットを記録した。アイクリームをヒットさせた同社は、2017年ユニリーバに3兆ウォンで買収された。その他、2004年に資本金5,000万ウォンで設立されたドクタージャルトの親会社「Have&be」が、2019年に米国エスティローダーグループに1兆ウォン以上の金額で買収されたという成功事例がある。
このように韓国化粧品企業が世界的な企業に買収されたり、世界的な企業から製造を依頼されたりする案件が続出している。それくらい韓国の化粧品業界は世界から注目され、信頼を勝ち取っている。
韓国化粧品の成功要因とは
すでに書いたように、YouTubeやインスタグラムなど、少ない費用でマーケティングできる方法が登場しているが、韓国の化粧品業界では、それを積極的に利用したことが成功要因の1つである。インスタグラムに韓国化粧品を検索すると、180万件のヒットがあるという。
2つ目の成功要因は、韓国化粧品の手頃な価格であろう。品質は良いが価格が手ごろなので、消費者に満足感を与えている。3つ目の成功要因は韓国の化粧品はトレンドにいつも敏感で、トレンドに合った製品をタイミングよく市場に出していることだ。
たとえば、新型コロナウイルス期間中にはみんながマスクをしていたので、化粧をせずに、目元がきれいに見えるようにアイシャドウの販売を強化した。新種のアイシャドウの提案や、流行に左右されやすいリップステックを、トレンドに合わせて出すなどの細かい努力をしたことだ。
日本市場でもついに輸入化粧品1位に
韓国化粧品の海外進出は、“MISSHA”というブランドが2007年オーストラリアに店舗を出したことが最初である。韓国でロードショップを主に展開している中低価格ブランドが新しい市場を求めて海外進出をした。
韓国では化粧品ショップの競争が激しくなりつつある状況下だったで、中低価格ブランドは海外で活路を模索し、海外進出を求めたのだ。その結果、化粧品では先進国であった日本にも進出したが、長い間苦戦を強いられた。ところが、韓国化粧品が日本市場でフランスを追い越して輸入化粧品1位の座を占めるようになったのだ。
KOTRA(大韓貿易投資振興公社)によると、2022年を基準に日本の化粧品輸入額は3,318億円で前年対比20.5%増加しており、全体の輸入額のなかで韓国化粧品は23.4%で、初めて1位となった。ECデータ分析会社のNintが2020年に行った調査によると、韓国化粧品は10代の48.3%が、20代は33.5%が、30代は21.1%が使っていることも明らかになった。
まさに隔世の感がある。
(了)
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