2024年12月23日( 月 )

プラスチックの利用にも脱炭素の波(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

日常生活に広く普及したプラスチック製品

プラスチック イメージ    現代社会では、世界中のほとんどの人が「プラスチック」製品に囲まれた生活をしている。歯ブラシなどの身近なものから、電気製品や雑貨などの日用品、家具、玩具、自動車など、私たちの身の回りは数多くのプラスチック製品であふれている。

 プラスチックがこのように普及したのも、軽量で加工性に優れ、大量生産が容易なために安価でもあり、金属材料と比較して水や薬品に強く腐食しにくいなど、長所が多いからだろう。プラスチックはそうした高い利便性ゆえに、総生産量は今なお増加の一途をたどる。一方、枯渇性資源である石油からつくられるということと、半永久的に腐らないということのために、環境に大きな負担をかけることが問題視され、プラスチックの使用を抑制しようとする動きがある。今回は、プラスチックについて世界ではどのような対応をしているのか、改めてまとめておこう。

プラスチックはどのようにつくられるか

 プラスチックは「合成樹脂」と呼ばれることからもわかる通り、主な原料は石油である。

 タンカーで運ばれてきた原油は、精製工場にある大きなタワーのような建物のなかで熱を加えられ、気体にされる。物質が液体から気体に変わる温度は物質ごとに違うため、沸点の低いものからガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、アスファルトの順に分離される。プラスチックのもととなるのはナフサ。これにさらに熱を加えて、エチレン・プロピレンやベンゼンなどがつくられる。

 これらの分子をたくさんつなぎ合わせて、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)がつくられる。これらがプラスチックの材料となるのだ。これらをやわらかくしたり、壊れにくくしたり、色をつけるための添加剤を加えたものを「ペレット」という。

 ペレットはコメのような小さな粒だが、ここからいろいろなかたちのプラスチック製品がつくられる。ペレットを金型に入れて形をつくり、冷やせば目的のプラスチック製品ができ上がるというわけだ。

プラスチックの課題

 だが、石油からつくられたプラスチックは使用後リサイクルしなければ埋めるか、焼却するという処分方法しかない。しかし、プラスチックは埋めても自然に還らず、半永久的に地中に残るので、それが問題である。また、燃やせば二酸化炭素の排出は避けられず、地球温暖化の原因になる。プラスチックはこのように、生活に利便性をもたらす一方で、環境に大きな負担をかける環境問題を抱えていることも事実である。

 とくに、海に流れたプラスチックごみが大きな環境汚染問題として注目されている。適切な処理がほどこされることなく海洋に投棄されたプラスチックは、生態系に少なからぬ悪影響を与える。実際、魚の被害まで報告されている。

(つづく)

(後)

関連キーワード

関連記事