2024年12月23日( 月 )

プラスチックの利用にも脱炭素の波(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

プラスチックの課題(つづき)

 世界の海ではすでに1億5,000万tものプラスチックごみが存在していると言われる。このままいけばプラスチックごみは増え続け(実際、海洋中のプラスチックごみはいまなお年間800万tずつ増加しているとの報告もある)、ゆくゆくは魚だけでなく人間にも害をおよぼすことになりかねない。

 さらに、波や紫外線によって粉砕され、5ミリ以下の大きさになったプラスチックゴミをマイクロプラスチックというが、マイクロプラスチックのなかには有害物質が含まれているものも多い。これが海洋の生態系に取り込まれる可能性があり、今後の環境への影響が懸念されている。

新しい可能性に向け動き出した世界

    そこで、プラスチックの使用を少しでも抑制しようと、たとえばレジ袋が有料化されたことは周知の通りである。また、スターバックスなどの大手コーヒーショップは、全店舗でプラスチック製ストローの廃止に踏み切った。ハンバーガーショップのマクドナルドも、「2025年までにプラスチック製ストローを全廃する」と発表。このように、まずはプラスチックの使用を禁止する動きがある。

 だが、繰り返す通りプラスチック製品は安価で利便性が高いため、生活のあらゆる場面で利用されており、どんなに使用を減らすことを推奨してもむしろ増えているのが実情である。そこで、澱粉やセルロースなどのバイオ資源を原料につくられる「バイオプラスチック」の開発など、新しいアプローチで問題を解決しようとする企業もある。バイオプラスチックの場合、枯渇性資源である石油の使用を減らせることがまず1つ目のメリットで、2つ目のメリットは、CO2増加の抑制が挙げられる。

 さらには、使用済みのプラスチックを再生して原料にする新しい方法も開発されている。使用済みプラスチック製品を、自然界に存在する微生物の働きで分子レベルまで分解してしまう技術である。これをリサイクルして再びペレットをつくり、新たなプラスチック製品の材料にしようというわけだ。こうすることで石油の使用は抑えられ、ひいては二酸化炭素の排出も抑制されることになる。

 プラスチックの用途は増えることはあっても決して減っていない。そのような状況下で、再生プラスチックに対する関心はますます高まっている。プラスチックのリサイクルといっても、口でいうほど簡単ではないが、プラスチック製品のなかでもたとえばペットボトルは、リサイクル率が高いことで知られている。

 日本で再生ペレットを生産するところはそれほど多くないが、環境に対する関心の高まりを受けて、再生ペレットの需要は増加している。持続可能な社会を維持するためには、私たちも環境にもっと関心を持つ必要があるだろう。環境問題を解決できる新しい素材が開発されることを望んでやまない。

(了)

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