九州から全国へと信頼と実績を積み重ね、200年企業を目指し海外へ進出
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中村工業(株)
事業分野を拡大しながら
サブコンとして着実に成長福岡市中央区舞鶴に本社を置く建設会社、中村工業(株)。2023年4月に創業118年を迎えた。鳶土木工事を軸に現代表の5代目・中村隆元氏に至るまで着実に実績を築き上げてきた。中村社長の就任時(15年)に50億円規模だった売上高は、今期(23年)には130億円規模に成長している。この急成長の理由は事業分野の拡大にある。15年当時は鳶・土工部門が中心であったが、これに土木社員補強とPC製作取付工事、リニューアル工事、リテラ工事が加わることにより、仕事の受注量が飛躍的に増大したのである。
この事業分野の拡大で工事の幅広い領域を網羅できるようになり、長年にわたる仕事のたしかさが評価され、大手ゼネコン5社(竹中工務店、鹿島建設、大成建設、大林組、清水建設)から「『中村』に任せておけば大丈夫」との最大級の賛辞を贈られるようになった。
九州各地をステージに
大型工事が同時進行同社はこれまでに福岡市のランドマークともいえる巨大な構造物を数多く手がけてきた。たとえば、PayPayドーム、MARK IS福岡ももち、アクロス福岡、福岡天神センタービル、福岡銀行本店など、天神や百道の顔ともいえる構造物ばかりである。
近年では、天神ビッグバンや博多コネクティッドなど、数年前から構想されている再開発が本格的に動き始めている。九州各地においても、長崎県では駅ビルの再開発、(株)ジャパネットホールディングスの子会社である(株)リージョナルクリエーション長崎の長崎スタジアムシティプロジェクト、同県諫早市のソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの長崎テクノロジーセンター新築工事、宮崎県の国民スポーツ関連事業、鹿児島県では京セラの新工場や馬毛島プロジェクトなどビッグプロジェクトが目白押しだ。このような状況のなかで、台湾の半導体メーカーの熊本工場の建設も着工した。これまで大型プロジェクトを数多く手がけてきた同社にとって、将来に向け活躍する舞台は大きく広がっている。
200年企業を目指し
人材を育成しながら進化を遂げていく建設現場において人手不足が深刻化している。全国に約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)になり、超高齢化社会を迎えるといういわゆる2025年問題も目の前に迫っている。建設会社にとって、いかに人材を確保するかは、これから先も大きな課題であり続けるだろう。同社は人材を何より大切に考えており、リーマン・ショックで売上が4割も減少した際にも、事業規模の縮小や人員の削減などは行わず、採用を控えることもしなかった。人材を大切にする考え方は1906年の創業時から変わらない企業理念である。
人材を大切にする考えは現在においても受け継がれており、中村社長は、男性中心の建設業界で常識とされている考え方や慣習について、古くなったと思われるものを改める努力を続けている。たとえば、「技術は盗むもので、教えるべきことではない」という職人気質の考え方を改めるべく、新たに入社した社員に関しては、座学と実地講習を含めた「新入社員研修」を実施している。入社後、社内で1週間のオリエンテーションが行われ、基本的な業務内容を理解する。その後2カ月間は静岡県にある「富士教育訓練センター」で、建築基礎コース、土木基礎コースを受講し、学科と実地講習を通じて型枠や鉄筋、そして内装業の軽鉄ボードに触れ、現場でのリアルな感覚を体験してもらうのだ。この研修後、さらに、福岡で1カ月間の研修(延べ3カ月半)を行い、社員はそれぞれの適性に応じ、鳶・土工工事、機械オペレーター、土木工事、リニューアル工事、PC工事の5部門のなかで職人か管理職かを選択し、その後は具体的な業務内容を習得していくことになる。このような教育面における地道な努力や華々しい施工実績に惹かれ、建設業界に魅力を感じる女性が入社するケースも増えているそうである。
また、中村社長は建設業界の常識がほかの業界から見た場合にどう映っているかを意識し、積極的に美容業界やサービス業界、運送業界など異なる業界の関係者とコミュニケーションを図り、建設業界の常識で時代に合っていないと感じたものを改めようと努めている。その一環として行っているのが次のような会社による費用負担制度である。建設業の現場には男性が多く、外見にはこだわらない傾向が強い。しかし、スーツを着た施主の関係者が見学に訪れる機会もあり、現場のスタッフといえども身だしなみには気を配ることが求められる。そこで同社では、30代までの社員の美容室でのカット代を無料としており、40代以上のスタッフは人間ドックにかかる費用を全額負担している。
建設業界の給与水準も問題である。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2020年時点の建設業生産労働者(技能者)の平均年収は約467万円、全産業の平均約522万円とは開きがある。「建設業の現場で働く人の平均年収を今後着実に上げていかなければなりません。建設業はスマートで先進的な業界といわれるようにイメージを変えていきたいです」と語る中村社長。地元、福岡からイノベーションの波を起こしてほしいものだ。
全国展開、海外進出、新社屋建設
夢が広がる未来像大手ゼネコンから揺るぎない信頼を得ている同社の活躍の場所は、福岡や九州を中心として全国に広がっている。中村社長は「現時点で28年ごろまでの受注は見込めています。現場を九州内と限らず、今後は日本各地に拠点を置くことになるでしょう」と語る。また、ゼネコンの海外進出にともない、同社も活躍の舞台が海外へと広がっていくことになりそうだ。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中村 隆元
所在地:福岡市中央区舞鶴3-2-6
設 立:1947年5月
資本金:6,000万円
TEL:092-751-9381
URL:https://nakamura-k.com<RECRUIT>
募集職種:技能者(鳶、オペレーター)
技術者(PC工事管理者、土木工事管理者、リニューアル工事管理者)
採用実績:2023年度/11人
採用予定:10人
問合せ先:092-751-9381
採用担当:永江
<プロフィール>
中村 隆元(なかむら・りゅうげん)
1975年1月生まれ。福岡県春日市出身。中村学園三陽高校、福岡建設専門学校卒業。学生時代はラグビーに勤しむ。2015年に中村工業(株)の代表取締役に就任。趣味は水泳、マラソン、仲間との酒飲み。法人名
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