管理業№1も目指して 徹底管理が支える快適な住環境と資産価値

（株）ネスト

徹底した管理の根源にあるものは

    福岡市でマンションの企画・開発・販売から賃貸管理、建物管理まで、すべてをワンストップで請け負う（株）ネスト。好立地・高品質をコンセプトに提供するネストピアシリーズマンションは、現在37棟（戸数は約1,600戸）で、2023年5月時点の入居率は99.6％となっている。シーズンで入れ替わりがあってもすぐに次が決まるため、このようにほぼ100％を維持しているという。

　理由の1つは、徹底した建物管理だ。これは同社代表取締役・新井晋一氏が培った経験が生かされている。「22歳からこの業界で営業をしてきましたが、昔は今では考えられないほど杜撰な管理が多かったのです。経費削減で掃除は適当、作成書類の誤字脱字は頻繁、新築でもきちんと管理するのは最初だけ…こんなことでは絶対ダメだと、ずっと思っていました」と新井社長は語る。これが、問い合わせには即対応する、入居者の気持ちになって管理する、オーナーの立場で考える、という会社方針の根源となっている。

　同社の建物管理、関連企業である （株）ネストルームサポートの浦塚課長代理は、「オーナーさまとは、購入後から長いお付き合いになります。遠方の方が多いのですが、直接物件を見に来られることもありますので、ご指摘を受けないように関係業者さまと連携しています。各種の設備点検と併せて、巡回も強化していますね。ご購入後の管理が、また次の購入へつながると自負しています」と語る。

　賃貸管理に携わる業者への対応も評判だ。「ネストさんは、私たちに雨の日にはタオル、暑い日にはおしぼりを用意して待っていてくれた」という関係者のエピソードを耳にしたことがある。「各種業者さまの協力があってこそ」と誠実に接する姿勢は、円滑なコミュニケーションと良好な協力体制を生み出しているという。

    「昔は営業が、業者や内勤者を上から見下すことがよくありました。今では、もう見かけなくなりましたが、許されないことです。年齢や肩書きに関係なく、協力関係を築いています」と新井社長は語気を強める。社長自ら、物件の抜き打ちチェックに回るというフットワークの軽さにも驚かされる。つい先日も、散歩がてら深夜に自販機の落書きを発見して即対応したという。

　過去にマンション管理業者が、管理組合費を横領する事件が社会問題になったこともあり、オーナーからは、さまざまな質問がくる。当然、管理費は適切に使われており、どこからどう追求されても問題なく説明できる状態だ。オーナーは購入から管理まで一貫して任せられる安心と、あらゆる方面から資産価値の向上という信頼が得られるのだ。

全員で全物件を共有管理する

　同社は「入居者さまからの連絡は、絶対にたらい回しにしない」という信念のもと、担当制ではなく、内勤の事務職員まで含めた社員全員で情報を共有している。よく耳にする「担当者が不在のため、明日以降に折り返します」という後日対応をすることがないように、心掛けているという。もちろん入居者のための体制だが、それだけではない。担当者が1人で抱えなくていいので、クレーム対応による精神的な負担の軽減にもつながるのだ。

    「コロナ禍で在宅勤務による騒音クレームが急増しても、スムーズに分担できました。これまで一般的な管理問題のほか、ハトやカラス、ハチなどの対応もしてきました。それぞれのケースで、入居者さまご自身ができる対策をアドバイスさせていただくこともあります」と浦塚氏は、日々の現場の状況を説明する。エントランス、エレベーター、駐車場などの清掃はもちろん、雨だれやテープ跡などもチェックされ、きれいな状態を保っている。修繕が必要な場合は、よほど大きな問題でない限り、管理費用ではなく自社負担で実施することも、スピードを重視するプロフェッショナルな同社らしい。

　また社員はいずれ管理人として、フロント業務で再雇用することも視野に入れ始めた。実際、定年後に管理人となった元社員は、細やかな対応で入居者から大絶賛されており、本人が希望する限り働ける組織づくりを進めている。65歳以上の雇用は年々増加し、少子高齢化が止まらない日本において、企業が取り組むべき重要な課題でもあるといえよう。

移りゆく時代に合わせてアップデートする

　時代の変化とともに、マンション設備も少しずつ仕様が変わり、オートロックや宅配ボックスは今や標準装備となっている。近年は、犯罪防止対策にも力を入れているという。警備会社が迅速な対応をすることはもちろん、防犯カメラは一般的な台数の倍、設置している。よって、周辺の道路が映り込みやすく、警察から情報提供の協力要請もよくあり、間接的に地域の安全にも貢献しているのだ。

　事業拡大にともない、管理業務ができる社員を増やす予定だという。浦塚氏は長く働いている理由を、「入社10年ですが、まだまだ勉強することがあります。自分で考えて、みんなで協力していくことにやりがいを感じていますし、仕事の面白さだけでなく、社内も雰囲気も良いです。私の性格的にも合っているでしょうね」と謙虚な姿勢を一貫している。人材育成は、口頭で細かく指導するより、先輩と巡回しながら経験を積んでもらっているそうだ。

　「今後は、建物管理、賃貸管理の№1も目指しています。質の高い管理をしていれば、中古の価値は高くなるので、売却にも有利ですし、オーナーさまも喜ばれます。また、そのご縁でご購入者さまを紹介してもらえることもありますから」と言う新井社長は、目の前のことに真摯に取り組んだ結果、良い循環が生まれるとしている。入居者やオーナーから、管理へのお中元やお礼の手紙が届くこともしばしばあるというから驚きだ。

　同社の第1棟目の物件が15年になり、そろそろ大型改修工事が続々と始まる。改修費用のプールも問題なく、建設会社とタイアップして計画的に進めているところだという。「オーナーさまと入居者さまのために」と、揺らがない初心と堅実な姿勢は、管理業No.1まで続く一本道となるに違いない。

＜COMPANY INFORMATION＞ 
代　表：新井　晋一
所在地：福岡市中央区警固1-15-6 KH22ビル3F
設　立：1999年9月
資本金：1億円
　　　　（グループ資本金：1億4,000万円）
ＴＥＬ：092-737-5223
ＵＲＬ：https://www.newnest.co.jp

＜プロフィール＞ 
新井　晋一（にい・しんいち）
1968年2月、長崎県対馬市に生まれる。県立対馬高等学校を卒業後、大阪の日用雑貨販売会社に就職し福岡支店で勤務。その後、ワンルームマンションの販売会社2社で営業を経験し、99年に （株）ネストを設立。同社代表取締役に就任し現在に至る。趣味は気の合った経営者仲間たちと愉しむゴルフ。