2024年11月22日( 金 )

設計、製造から現場施工まで一貫体制 鉄骨ファブリケーターとして躍進中

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松井工業(株)

スチール家具製作から始まった
松井工業の歴史

 松井工業(株)の設立は1961年10月。60年以上におよぶ歴史を有する。その始まりはスチール家具の製造であり、オフィスなどで利用される椅子やテーブルなどの金物製品をつくる企業としてスタートした。68年に現商号に改称した。その後、現在につながる大規模建造物の鋼構造物工事へと事業のスケールアップを実現し、半世紀以上にわたって着実に成長を続けている。

多くの企業が外注する一次加工(切断・孔あけ等)も工場で行っている
多くの企業が外注する一次加工
(切断・孔あけ等)も工場で行っている

    建造物は時代とともに進化するものであり、そこで求められるデザインや素材、技術も目まぐるしく変化している。構造材として重要な役割をはたす鉄骨製作においても、進化を見据えた技術力や生産力など柔軟な対応が求められるようになった。そこで同社は、これらのニーズに的確に応えるため、90年、鉄骨製造の設計から切断、溶接、検査、塗装まで自社で一貫して行うことを目的に糟屋郡宇美町に工場と社屋を移転。一般的な建築鉄骨製造工場(鉄骨ファブリケーター)の多くが外注している一次加工(切断・孔あけ等)のすべての工程にトータルで対応できる体制を整えた。この一貫生産を実現するためには鉄骨づくりに欠かせない人材が必要となるが、建築士、鉄骨製作管理技術者、製品検査技術者、超音波検査技術者、溶接技能者などのプロフェッショナルな人材を抱え、福岡・九州のほか、沖縄から関東エリアを中心にデベロッパー、設計事務所、建設会社が手がける大型建築物重量鉄骨の製造工事を行っている。

 設備の充実や技術のたしかさとともに必要な心構えとして、「安全、品質、納期厳守」の3つを提唱。社員はこのシンプルでありながら奥の深いキーワードを胸に刻みながら、それぞれの現場で日々の業務に勤しんでいる。

最新鋭の設備と効率的な生産ラインを整備し、
時代が求める大規模構造鉄骨を提供

松井工業(株) 代表取締役社長 松井隆明 氏
松井工業(株)
代表取締役社長 松井隆明 氏

    同社の工場は高品質の証である性能評価において「Hグレード」を取得している。この認定工場には次のようなメリットがある。第1に、鉄骨溶接部の性能が保障される。第2に、確かな検査体制、検査対応への安心感だ。製品の信頼性が高いことである。この性能評価は下位から順にJ・R・M・H・Sの5段階で評価されるものであり、同社は91年に高層ビルや超高層ビルを対象建築物とする「Hグレード」を取得している。これにより、巨大プロジェクトなどへの大規模構造鉄骨の提供が可能となった。工場の規模としても年間1万8,000t程度の鉄骨製造を行っており、同社の「品質」はこのような環境によって守られている。

 「納期厳守」にも徹底してこだわり、屋内天井走行クレーン、高速孔明加工機、溶接ロボット、回転ポジショナなど、さまざまな最新設備を導入することでスピーディーに生産できる体制を整えている。そのため、効率性を重視したレイアウトがなされ、ストックヤードも複数の案件を同時に進行できるよう十分なスペースを確保している。

 3つのキーワードの筆頭に掲げられている「安全」に関する対応にも十分な配慮が必要となる。工場内の不安定で自立しにくいもの、バランスの悪い製品に関しては、転倒を防止するためオリジナルの治具を開発し設置。大型製品の加工にはポジショナ(コンピュータなどの電気信号による入力を基に制御弁を機械的に制御する部品)を用いるなど、災害防止のための施策を積極的に行っている。大きな災害につながりやすい吊具に関しては毎日の点検を欠かさない。

 危険(K)を予知(Y)するための「KY活動」も安全に仕事に取り組むうえで非常に重要だ。数名から成る各チームが災害につながりそうな危険・有害要因を洗い出し、その除去や低減のための作業を行っており、確実に実施することで大きな効果を生んでいる。毎朝作業開始前に幹部スタッフが工場内および周辺を見回り、危険が潜んでいないか入念にチェック。このように、KY活動と作業前パトロールとの二重チェックを実践することにより、より安全性を高めるとともに、作業環境の整備と災害防止に努めている。

福岡を拠点に、国内はもちろん
海外でもたしかな技術力を提供

 建設業界ではスタッフの高齢化とともに人材不足が慢性化しており、同社も例外ではない。同社は、ベトナム、ミャンマー、インドネシアなどから意欲に満ちた技能実習生を積極的に受け入れている。彼らはエンジニアや加工を行う技術者として、スキルを身に付けながら熱心に働いていており、その姿は日本人スタッフに大きな刺激を与えているそうだ。

 同社が参画するものは数としては東京の案件が多いが、福岡市の近年の再開発にともない、案件が増えてきている。ここ十数年の間の県内の施工実績を挙げると、「キャナルシティ博多イーストビル」(2011年)、「浜の町病院」(12年)、「ベジフルスタジアム」(14年)、「JRJP博多ビル」(15年)など、人々の暮らしになくてはならない公共施設や話題を呼んだ商業施設など、同社のたしかな技術が投入された物件が並ぶ。

設計・積算・品質管理を行うオフィスとして建設された(株)M.S.E
設計・積算・品質管理を行う
オフィスとして建設された(株)M.S.E

    同社は11年に鋼構造物用鉄骨製作における重要なプロセスである鉄骨設計、積算、品質管理などの業務を専門的に請け負う(株)M・S・Eを開設した。建物もガラスを多用した先進的なデザインで、室内には開放感あふれる空間が広がっている。福岡都市圏の大野城市に拠点を置き、地元はもちろん、関東・関西エリア、および全国各地の大手建設会社、設計事務所などが手がける大型建築プロジェクト・超高層建築などに関する業務を推進。最近ではベトナム、ハノイといった海外の物件も取り扱うようになってきた。

 同社は最新鋭の設備が整えられた工場とそこで働く鉄骨づくりに欠かせない高度な技術や資格をもった人材を中軸に、営業・設計・製造・資材・工務・品質管理の各部門がしっかりと連携している。今後も、高層建築の骨組みを構築する鉄骨ファブリケーターとして躍進を続けていくだろう。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:松井 隆明
所在地:福岡県糟屋郡宇美町
    大字宇美字猫石2447-16
設 立:1961年10月
資本金:5,000万円
TEL:092-932-3191
URL:https://www.matsui-kougyou.co.jp

<RECRUIT> 
募集職種:営業、工場内製作スタッフ、
     CADオペレーター、現場施工管理
応募資格:鋼構造物工事業に関心のある方
採用実績:2023年度/4人  
採用予定:随時、人数未定
問合せ先:092-932-3191
     info@makk.jp
採用担当:川原、吉松


<プロフィール> 
松井 隆明
(まつい・たかあき)
1977年1月生まれ。福岡県大野城市出身。西南学院大学経済学部国際経済学科卒。99年松井工業に入社。品質管理部、営業部を経て、2007年専務取締役就任。15年代表取締役社長に就任。趣味はスポーツ観戦。

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