中秋節は「月餅」より現金!?変わりゆく中国の伝統
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今年は今月27日となる中秋節。中秋の名月を鑑賞しながら祝う習慣は日本にもあるが、中国大陸や台湾などの中華圏では、中秋節は日本以上の賑やかさとなる。月餅や果物の文旦、酒、アワビ、フカヒレなどが土産物として贈られ、家族が集まり、食事をしながら談笑にふけるのだが、その一方で、時代に逆行するかのように「月餅」離れが進んでいるという。今月、台湾テレビ局が行った「中秋節で最も貰いたくない物は?」とのアンケートでは「1位・伝統的な月餅、2位・柚子、3位・酒類」という結果となり、「現金が欲しい」という声も紹介された。
広東省発祥の月餅は、月に見立てた丸い形をしており、中には小豆(あずき)餡やクルミが入る。しかし、多くが製造過程で豚の脂(ラード)を使うことから高カロリーになり、大きなもの一つで600キロカロリーを超える。毎年のように台湾のニュース番組では、月餅のカロリー分析と「健康に悪い」「糖尿病になる」といった特集が放映され、街頭インタビューでも「そんなに美味しくない」「ギフトで月餅が届くことに飽き飽きする」といった声が放送される。日本でのクリスマスのケーキや、バレンタインのチョコレートのように、期が過ぎると投げ売りされる傾向もあり、中秋節を過ぎるとデパートなどでは投げ売りされる。かつて香港では「売れない月餅のあんこだけを取り出し、他の製品に使い回した」会社が摘発されたこともあった。
「月餅離れ」の影響を受け、台湾の製菓メーカーなどでは「月餅型のクッキー」などを販売するところも出ている。台湾のあるテレビ関係者は「かつては儀式的に家族みんなで、月餅でお祝いする習慣があったが、現在は核家族化が進んでおり、中秋節そのものが軽視される傾向ある。高齢者が暮らす家族では、今でも習慣的に食べられる傾向が根強いが、若い人のなかには『(小さい頃から食べさせられてきた)月餅はそれほど美味しくない』というイメージも強い。最近では『月餅は食べず、ご馳走を食べて過ごす』という家族も増えてきた」と話している。
【杉本 尚丈】
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