「大谷ロス」が辛すぎる件
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「大谷ロス」が続いている。
メジャーリーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が、右脇腹を痛めた現地4日以来、10試合連続(現地13日時点)で試合を欠場している。
それに先立つ8月末には右ヒジ靱帯を損傷し、投手として今期の登板はないことが確定的になっている。だから、脇腹のケガで今期はもう出場できないのではないか、との憶測が日米メディアの間で広がっている。
なかには、「野球人生最大の危機」などと騒ぎ立てる論調のほか、29歳という年齢を考慮したうえで、これを機に今後は投手か野手に専念する「二刀流」の断念を推奨する声も広がり始めている。
大谷選手の今シーズンの成績をみると、野手成績では135試合に出場し打率.304、得点圏打率.317、本塁打44本、長打率.654、盗塁20、出塁率.412などとなっている。アメリカンリーグにおいて、打撃3部門でトップ5入りし、本塁打はいまだにトップの成績だ。
一方、投手としては23試合に登板して、防御率3.14、10勝5敗という成績を挙げている。打撃成績と比べると見劣りするように見えるが、チーム状況が良くないなかでこの成績は十分に立派である。
仮にチームが強ければもっと勝っていてもおかしくないし、防御率も改善されていた可能性がある。WBCの決勝で抑え投手として登板し、優勝を決めた勇姿を思い出すと、投手の断念はもったいないと思われる。
再度、右ヒジに手術を受ける可能性が指摘され、その影響が懸念されること、これまでの成績を考慮して、二刀流断念を勧める意見には野手を推す声が多いようである。
しかし、いずれにせよ、メジャーリーグのなかでも特筆すべき、歴史に残る選手であることは間違いなく、「できれば二刀流で、しかもほぼ毎日、そしてできるだけ長く大谷選手の活躍をワクワクしながら見てみたい」というのが、多くの人々が持つ本音ではなかろうか。
そんな期待があるからこその大谷ロス。
個人的な話で恐縮だが、今シーズンは福岡ソフトバンクホークスの戦いぶりにがっかりしっぱなしなので、大谷選手の活躍に一喜一憂する毎日だった。だから、ここにきての筆者の大谷ロスはことさら辛い。
大谷選手は人間性にも優れており、クレバーで、冷静な判断ができる人物だと見られている。だから、「外野」の声に惑わされることもないだろうが、来年は30歳という節目の年齢を迎える。
欠場した10試合が毎日開催されていることが象徴的だが、メジャーリーグは日本のプロ野球と比べて非常に過酷。大谷選手がいかに超人的であろうと、長く見積もってもあと10年ほどの野球人生だろう。
凡人が超人にものを申すのは恐縮だが、大谷選手にはより長く活躍できるようベストと思われる選択をしていただきたいと、ただただ思う毎日だ。
【田中 直輝】
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