再現可能なのか!?福岡城天守閣対談!(前)
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JR九州初代代表取締役社長で、現在では福岡城市民の会理事長も務める石井幸孝氏。そして黒田藩藩士を先祖に持ち、福岡市市役所で様々な経験を積み、現在は(有)カワセの代表取締役社長を務める川瀬輝彦氏。今回はそんな類希なる経歴を持つお二人に、果たして「福岡城天守閣」が再現可能なのかどうかについてお話をきいた。
石井 福岡城天守閣の件ですが、動きだすと思います。現在3つの計画が、同時進行しています。市が主導する福岡城跡整備計画、セントラルパーク構想。福岡城、そして鴻臚館の復元計画の三つです。今、問題になっているのは、もうやる・やらないではなく、どうやるのか、ということなんです。考えてもみてください。鴻臚館が建築されたのが平安の頃。対して福岡城が築城されたのが400年前。この二つの歴史的建造物の間には、実に千年以上のギャップが存在するんです。しかもそれがほとんど同じ場所にある。簡単に手が出せるものではありませんよ。
川瀬 わたしも今回のお話をいただいて、あらためて鴻臚館に足を運んだのですが、貴重な資料が多く大変勉強になりました。土地も広いですし、市もセントラルパーク構想を実行するのであれば、例えば遣唐使時代の船を再現して、子供たちがそれに乗って楽しめて、親御さんが楽しむお子さんたちの写真を自由に撮れるといった、訪れた方がまた来たくなるようなものにしてほしいですね。
石井 単純に土地の再利用をする、過去の姿を再現する、だけではもうダメなんですよね。やはり川瀬さんがおっしゃるような、遊び心が大切ですよ。AR(拡張現実)福岡城ツアーも、その一例といえます。休日ともなれば、多くの人がダンボール製のゴーグルをかけて、タイムスリップ気分を味わってます。ただ、やはり福岡城も鴻臚館もほとんど同じ場所にあるというのが悩ましいですね。どちらも史跡になるわけですが、史跡の中に史跡があるといった、オーバーラップの状態になっている。文化庁などへの手続きが大変ですよ。
川瀬 わたしも役所に勤めていた経験がありますから、書類関係も含め、手続きの煩雑さは嫌というほど理解しています。歴史的価値のことも考えると、単純にコンクリートを流して固めてというわけにもいきませんし。
石井 鴻臚館の歴史的な話でいくと、その役割は古く10世紀頃、西暦でいうと600数十年代頃かと思われますが、653年、百済と日本の連合軍、新羅と唐の連合軍で争いがあって、百済の方が負けてしまい、王族たちが倭国に避難してくるわけですね。その歓待の場所として鴻臚館は使われましたが、やはり新羅、唐がまた攻めてくるのではないかという恐れからくる、見張り台としての役割が強かったんではないかと思います。
川瀬 昔はこの場所から糸島の方まで一望できたわけですし、立地条件としてはこの場所に勝る場所というのはなかったんじゃないでしょうか。
石井 黒田官兵衛がこの場所に福岡城を築城したのも、学のある彼のことですから、立地条件はもちろん、そういった歴史的経緯も把握したうえでの判断だったのではないかと思います。
現実味を帯びはじめた福岡城天守閣の再現。その道のりは決して平坦とは言えないようだが、次世代にも遺せる貴重な観光資源として、福岡城天守閣を求める気運は確実に高まっている。
(つづく)
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