福岡空港を取り巻く現状と未来図(3)
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利便性を維持しつつ、事業費を抑える
こうした福岡空港の混雑状況を改善すべく、現在、滑走路増設を含めたさまざまな整備計画等が進行中である。
始まりは2002年12月、国土交通省の交通政策審議会航空分科会答申で、「将来的に需給が逼迫する等の事態が予想される福岡空港及び那覇空港については、将来にわたって国内外航空ネットワークにおける拠点性を発揮しうるよう、抜本的な空港能力向上方策等について、幅広い合意形成を図りつつ、国と地域が連携し、総合的な調査を進める必要がある」とされた。それを受けて、03年から08年にかけて総合的な調査を実施。現行の滑走路増設案のほか、新空港案、近隣空港との連携案などの案が4つのステップを踏んで検討された。
新空港案は、現在の福岡空港とは別の地に、新たに空港をつくろうというもの。10ゾーンのなかから絞り込んで「志賀島・奈多ゾーン」と「三苫・新宮ゾーン」の2案を検討し、アクセス性や事業費などを勘案して、「三苫・新宮ゾーン」を代表案としていた。「三苫・新宮ゾーン」での新空港案の概略は、三苫・新宮沖の海上に新たに空港を建設するというもの。空港規模は約510haの全体用地面積に、3,000mの滑走路を2本備えたもので、概算事業費は約9,200億円を見込んでいた。
近隣空港との連携案については、混雑している福岡空港の需要を近隣の北九州空港および佐賀空港へと分散させる案として検討したもの。だが、この案については、福岡空港への需給逼迫緩和効果がわずかしか見込めないことから、抜本的な方策とはなり得ないとの結論が下されている。
こうして「滑走路増設案」および「新空港案」についてPI(パブリック・インボルブメント/住民参画)を実施。それぞれに意見が寄せられ、たとえば「滑走路増設案」については高いアクセス利便性や少ない初期投資費等の積極的な意見がある一方で、騒音や生活環境への影響等への消極的な意見があった。「新空港案」についても、24時間利用の利便性等の積極的な意見がある一方で、事業費やアクセス利便性の低下についての消極的な意見があった。
そうした検討が重ねられるなか、09年3月には福岡県知事および福岡市長が福岡空港の過密対策についての意見書を公表。意見書の内容としては、福岡空港の過密化問題が切迫しており早期の解決の必要から工事期間を重視したことと、住民意見で空港利便性を重視した増設案の支持が多かったこと、さらに経済状況からみて事業費が少ないという点から、滑走路増設の早期着手を望むというものだった。
こうした総合的な調査の結果やPIの実施結果、福岡県・福岡市の意見などを踏まえ、09年5月に滑走路増設案が選定。09~11年度に構想・施設計画段階の検討が実施され、現在、事業が進行している。
(つづく)
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