ウクライナ戦争で大儲けするゼレンスキー大統領とその取り巻き(後)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸バイデン政権への忖度には熱心ですが、アメリカの現状への理解はすこぶる偏っているようです。たとえば、日本でも大ベストセラーとなった『Rich Dad Poor Dad』(邦題『金持ち父さん、貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキ氏の警告にはもっと耳を傾けてもらいたいものです。曰く「アメリカ経済は破綻の瀬戸際に立っている。国際通貨として君臨してきたドルの終焉は近い」。
その背景にあるのはアメリカの抱える累積赤字の存在です。40兆ドル突破は確実で、この瞬間も増え続けています。しかも、長期化するウクライナ戦争のせいで、アメリカによるウクライナへの資金援助は鰻登りです。しかし、財源の保証はなく、FRBの輪転機が頼みという国家破綻と言っても過言ではない状況。これまでアメリカは金利を操作し、ドル高を演出し、基軸通貨ドルの維持に必死に取り組んできましたが、ウクライナ戦争に加えてイスラエル戦争ともなれば、もう限界です。
サウジアラビアからも2021年、アメリカがアフガニスタンから完全撤退を決めたその日に、「もうドルの時代は終わった」と三下り半を突き付けられました。「テロとの戦い」を掲げて20年間にわたりアメリカはアフガニスタンに資金と兵力を投入しました。しかし、何も得ることなく不名誉な撤退を余儀なくされたのです。この状況を冷徹に分析したサウジアラビアはアメリカの未来を見限り、中国やロシアと手を結ぶ選択を下しました。
2022年12月、サウジの招待で習近平はリヤドを訪問し、大歓迎を受けました。その場で300億ドルの貿易拡大に合意。しかも、すべて人民元決済という条件でした。石油の決済はドルに限定するとしてきた「ペトロダラー時代の終わり」といえるでしょう。
現在、世界貿易の50%強はドル決済で、ユーロが30%、人民元は2.7%です。しかし、この事態は急速に変化しつつあります。これまでアメリカはいくら貿易赤字でもドルを刷ればOKという状況に胡坐をかいていました。
中国はロシアへの経済制裁を逆手に取り、世界のエネルギー決済システムの大転換を狙っているに違いありません。ロシアはじめ多くの非同盟国はアメリカの「ドルの兵器化」に反発するようになっています。世界の原油埋蔵量の40%はロシア、イラン、ベネズエラに集中しています。いずれも格安で中国へ輸出を拡大中。しかも「ペトロ・人民元」の決済に移行しているのです。
ロシアはG7とEU によるロシア産原油の輸出価格の上限設定に猛反発。3月から日量50万バレルの減産を発表。原油価格は急上昇。中国とインドは有利な価格でロシア産原油の輸入を拡大させています。安い原油で中国もインドも製造業は経済競争力を強化。これでは日本も欧米も危機を迎えることは必至です。
最大の産油国サウジアラビアとUAEは合わせて世界の埋蔵量の40%を支配していますが、両国とも中国との関係を改善、強化しつつあります。この結果、サウジアラビアを含めいわゆる「拡大BRICS」が勢いを増すことになりました。
ブラジル、ロシア、中国、南アフリカの4カ国に加え、サウジアラビアやイランなどが相次いでBRICSに加盟する道を選んでいます。こうしたドルへの不信感を背景に、世界各国の中央銀行は1967年以降、最高のスピードで金(ゴールド)の備蓄を加速。間近に迫っている「ドルの崩壊」もしくは「脱ドル化」を想定し、危機回避策に走っているわけです。
なかでも中国は世界最速で金の購入を加速しつつ、国内から海外への金の輸出や持ち出しを禁止する措置を発表。実は、今、世界で最もたくさんの金を保有しているのは中国に他なりません。中国人は個人として買い込んだトータルは2万3,000tになる模様です。正に「金本位制」への回帰を見越した動きといえるもの。中国が主導する上海協力機構では、域内の共通通貨として金と連動した「デジタル通貨」を採用しようとしています。
残念ながら、日本はこうした世界のドル離れと真逆の方向を歩んでいます。ドルを買い支え、アメリカの赤字国債を買い支えているわけです。これまで1兆ドルの米国債を保有してきた中国は急ピッチで赤字国債を手放し、ゴールドに切り替え中。2018年以降、3,100億ドルの米国債を売却し、2,300億ドル分の金を購入。金の裏付けのあるデジタル人民元を目指しています。
日本の「国の借金」残高は約1300兆円で、過去最大を更新中です。とてもアメリカの肩代わりでウクライナ支援に乗り出すような余裕はないはず。一刻も早く、ウクライナ戦争やパレスチナ・イスラエル戦争の停戦に向けての外交努力を強化すべきと思われます。
(了)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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