積極的平和主義に強い危機感~事業家・関根健次氏(1)
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ユナイテッドピープル(株) 代表取締役 関根 健次 氏
大学の卒業旅行で偶然訪れた紛争地を目の当たりにし、平和実現をミッションとして後にユナイテッドピープル(株)を起業した関根健次氏。今年8月、「平和学の父」で「積極的平和」の提唱者であるヨハン・ガルトゥング博士を日本に招き、19日には東京でジャーナリストの田原総一朗氏との対談、21日には横浜でワークショップを開催した。なぜ、このタイミングだったのか。また、事業家としてどのような想いと手法で実現に至ったのか。関根氏に話を聞いた。
戦争が介在しない「積極的平和」
――どのような経緯でヨハン・ガルトゥング博士のことを知り、なぜこのタイミングで日本に招聘しようと考えたのでしょうか。
関根 私は一般社団法人国連平和映像祭という組織を作り、国連が定めたピースデー(9月21日)に、学生など若者を対象とした「平和」がテーマの映像祭を毎年開催しています。
その理事に就任予定の杉浦裕樹さんという方から「関根さん!平和学をやるならヨハン・ガルトゥング博士という方がいるよ」と聞きました。それが映像祭を始めた11年のことだったと思います。実は博士は一度、02年に横浜で講演していました。その時、杉浦さんがイベントの舞台運営をされていたようです。
博士をもう一度日本に呼びたいとも考えましたが、80歳(当時)とご高齢で、わざわざ来てくれないだろうと思いこんであきらめていました。それから月日が経ち、今年1月、シリアで日本人が拘束されるという事件が起こりました。1月17日、安倍首相がエジプトでイスラム国対策として「2億ドルを支援する」と周辺諸国に宣言しました。これはテロへの宣戦布告と受けとられたと思います。18日にはイスラエルでネタニヤフ首相と会談し、「テロに対して国際社会が取り組む必要がある」と発言しました。
この影響はかなり大きく、20日にイスラム国が拘束した日本人のビデオを公開し、2億ドルの要求と殺害予告をしました。これでイスラム国が宣戦布告だと認識したことが明らかになり、その後、両名とも殺害されたと報じられました。安倍首相はますますテロに屈しないという姿勢を鮮明にし、同じ頃「積極的平和主義」という言葉が声高に叫ばれるようになり、私はとても強い危機感を覚えました。
なぜなら、この場合の「積極的平和主義」とは、テロに対しアメリカと一体で集団的自衛権を行使するもの。そうであれば、間違いなく日本は戦争に巻き込まれ、アメリカと一緒に戦えば戦うほど際限なく戦争に引きずりこまれてしまうからです。それは間違いだし、このままではいけないと思いました。いろいろ調べるうちに、ずいぶん前に博士が「積極的平和」という概念を編み出していたことを知りました。そのとき、4年前に知った「平和学の父」「積極的平和」そして「積極的平和主義」というキーワードがぴたっと一致したのです。
博士の「積極的平和」には、まったく戦争が介在しません。ただ単に「平和」の状態に見えても、構造的暴力や格差などがあればそれは「消極的平和」で、本当の「積極的平和」は安倍政権のいう「積極的平和主義」とはまるで逆だとわかりました。
この本来のコンセプトをどうしても伝えてほしい、本当に日本が平和国家として目指すべき道を示してほしいと強く思いました。(つづく)
【大根田 康介】<プロフィール>
関根 健次(せきね・けんじ)
ユナイテッドピープル(株)代表取締役
一般社団法人国際平和映像祭 代表理事
1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒(アメリカ)。大学の卒業旅行で世界半周の旅へ出る。途中偶然訪れた紛争地で世界の現実と出会い、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年に世界の課題解決を事業目的とする非営利会社、ユナイテッドピープル株式会社を創業。2009年から映画事業を開始。2011年から国連が定めたピースデー、9月21日を広める活動を開始。同年、一般社団法人国際平和映像祭を設立し、ピースデーに毎年国際平和映像祭(UFPFF)を開催している。著書に『ユナイテッドピープル』がある。法人名
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