シェアオフィス米大手ウィワークが破産申請(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏シェアオフィス大手で、一時期企業価値が470億ドルに達していた米ウィワークがオフィス市場不況のあおりを受け6日、連邦破産法第11条の適用をアメリカの裁判所に申請して、経営破綻した。第11条の適用を受けると、債務履行は一時的に中断され、資産売却などを通じて会社は再生を図ることになる。ウォールストリートジャーナルによると、ウィワークは約186億ドルの負債を抱えていることも申請書類で明らかになった。今年6月基準で、同社がビルのオーナーに支払う賃貸料と利子の合計金額は年27億ドルとなり、その支出が年間売上高の約8割に達していることも判明した。
同社はソフトバンクグループから多額の出資を受け一躍有名になっていたが、IPO(Initial Public Offering、新規株式公開)失敗をきっかけにビジネスモデルに疑問がもたれていたが、その当時から破産の種が撒かれていたのかもしれない。低金利で潤沢に供給された資金を活用することができた以前とは違って、現在は高金利の時代となり、金利負担が重くのしかかり、以前の収益モデルが通用しなくなったのだろう。
破産申請の背景は
ウィワークのビジネスモデルは、不動産を長期リースで契約し、顧客には1日や月単位でレンタルするビジネスであった。小人数ではなかなか入居できない立派なオフィスビルに入居できるようにした同社のビジネスは、最初は受けが良かった。それに、既存のオフィス賃貸の固定観念に捕らわれない新しい試みでもあった。ところが、新型コロナウイルスのパンデミックで在宅勤務の需要が高まり、オフィス利用が減少。さらに、米国の利上げは同社にとってはさらなる経営の大打撃となった。
売上高より支出が2倍以上であったにもかかわらず、店舗の縮小などの対策を講じなかった同社に今つけが回ってきたのだ。同社はビルオーナーと長期契約をしているので、不景気で空室が増えると、巨額のリース料を負担するはめになる。そのうえに、高金利で固定費負担が増加し、赤字は増加の一途をたどった。
ただし、今回の破産申請は米国とカナダに限られる。同社は全世界に700店以上という営業網をもっているなか、その半分程度は米国とカナダにある。同社が破産に至る一連の過程のなかで、最初のつまずきとなったのは、同社の創業者であるアダム・ニューマンである。彼は自分所有のビルを会社に賃貸したり、会社の資金で贅沢三昧をしたことが明らかになり、IPO準備の最中だった2019年9月に会社を追い出されることになる。
結果的にIPOも失敗に終わった。同社は2018年単年度に19億ドルの赤字を計上し、2019年の上半期にも9億ドルを上回る赤字を出した。その結果、企業価値は上場前評価額470億ドルの3分1である150億ドルに急落した。
(つづく)
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