日本人力士よ、大相撲九州場所で奮起を
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先月開催された秋場所は西横綱・鶴竜(30歳)が念願の優勝を果たしたが、14年夏場所の横綱昇進後、在位9場所目にして、やっと二度目の賜杯を手にしている。
鶴竜は14日目の稀勢の里戦で立ち合いで変化。行司の「待った」で不成立となったが、二度目もなりふり構わず変化して勝ちをもぎ取った。
二度の変化は横綱としての風格を問われ、相撲協会には抗議の電話が殺到したと言う。千秋楽の本割では、怪我を押して出場した照ノ富士に寄り切りで完敗したが、優勝決定戦では上手出し投げを決めて勝ったものの、横綱の日馬富士は全休、白鵬が途中休場で一人横綱にもかかわらず、終わってみれば12勝3敗での優勝だった。
優勝インタビューで、「横綱になってからはなかなか優勝できず、ずっと悩み苦しんでいた」とその胸の内を明かし、稀勢の里戦の変化には、何が何でも優勝したいとの執念を燃やしていたことが見て取れる。横綱らしさは別にして、日本人力士にもその気概が欲しいものだ。1990年代は、65代横綱の貴乃花。66代横綱の若乃花。この兄弟二人が活躍して若貴時代を築いたが、その後日本人優勝者は、2006年(平成18年)の初場所の大関・栃東(東京都足立区)一人だけで、以来約10年近く日本人優勝者は出ていない。
2008年 (平成20年) の夏場所に大関・琴欧州(ブルガリア国)、2012年(平成24年)の初場所に大関・把瑠都(エストニア国)がそれぞれ一度だけ優勝しているが、それ以外はすべて朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士のモンゴル国(ウランバートル市)出身の4人が占めているからだ。
別表は過去3年間の優勝力士を掲載しているが、すべてがモンゴル国出身者であり、「大相撲」の名を「モンゴル相撲」と呼ぶような辛口が出るのも、云い得て妙なのかもしれない。
小結・栃ノ心(グルジア国)や東前頭二枚目・大砂嵐(エジプト国)をはじめ、多くの外国人力士が活躍することは、国際色豊かになっている証拠であり、喜ばしいことではある。
しかし大相撲ファンのみならず相撲協会にとっても、国技である大相撲を連日「満員御礼」の札止めにするためには、日本人優勝者が出ることが一番の望みなのだ。国技館には歴代優勝者32人の優勝額が東西南北にそれぞれ8枚飾られているが、2012年1月、103年目に栃東関の額が外され、日本人の優勝額が消えて早や4年近くなる。
今年最後の大相撲九州場所がいよいよ来月8日~22日に福岡国際センターで開催される。日本人力士が「優勝パレードで博多の街を凱旋し、来年国技館で開催される初場所に優勝額が掲げられる」夢が、ぜひ正夢になってほしいものだ。【北山 譲】
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