2024年12月23日( 月 )

中国、製造業分野の外資参入制限を全面撤廃(前)

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 中国国家主席習近平氏は10月18日、第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの開幕式で、「一帯一路」の質の高い共同建設を支援するための8つの行動プランを発表した。そのうちの「開放型世界経済の建設」の行動プランでは、製造業分野における外資参入制限措置の全面的な撤廃に言及している。

 なぜ今の時点で、「全面的な撤廃」を宣言したのか?中国商務部研究院の研究員・白明氏は、「製造業分野の外資参入規制措置の全面的な撤廃は事実上、順を追って一歩一歩進める過程だ。当初は自由貿易試験区内で撤廃されたが、現在はその範囲が全国に拡大し、自由貿易試験区から全国に広まる。試行から普及へと移り、自然な流れだ」と述べた。

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 ただし中国にとって、発表をこの時期にしたのは2つの背景が考えられる。まず2023年以入り、新型コロナウイルスは終息したものの、外国の製造業の投資が進まない上、中国の工場を東南アジアやインドにシフトする動きも始まっている。アメリカ政府による締め付けが続くなか、半導体やハイテクといった製造業が世界の産業チェーンを築き直そうとしており、日本も含めた一部の企業は生産ラインを部分的に戻すか、東南アジアへのシフトを始めている。

 北京日本商会が発表した最新のアンケート結果によると、2023年度に中国へ投資を拡大するという会社は16.9%に過ぎず、ほとんどが現状維持といった策を講じている。また、旭化学などは中国での工場建設計画を撤回している。

 中国商務省のとりまとめによると、2023年1~8月に新たに中国に進出した外国企業の数は2022年より33%増えて3万3,154社となり、このうち製造業は6.8%増であった。ただし外国企業全体の投資額は5.1%減って8,471億元(約17兆3,325億円)である。とくにアメリカ、日本、フランス、オーストラリアなどの落ち込みが目立っている。外国の製造業を踏みとどまらせ、さらに各企業の中国投資を拡大させるには、製造業における参入規制を全面的に撤廃することが大切になってくる。呼び寄せるための大きな利益となるのだ。

 「世界の工場」である中国は、輸出の半分が外国の企業によるものだ。とくに製造業では、外国企業の技術や設備、それに製品の開発力がそのまま国内製造業のレベルアップとなり利益となる。よって、中国経済が苦境を脱し復活するにあたり、外国の製造業を引続き中国に残すことが大切な方策となっている。

 もう1つは、中国が「一帯一路」を打ち出してちょうど10年である今年、北京で世界143の国と地域の代表が参加した第3回一帯一路国際フォーラムが開催されたことである。中国政府による大きなテコ入れ策の発表、それは世界各国への大きな土産である。また、改革開放を一段と進める決意や自信を示すものでもある。

 2017年から、中国は5年連続で外資参入ネガティブリストを改定してきた。2021年版では全国と自由貿易試験区におけるネガティブリストの項目がそれまでの31項目から27項目に減り、種苗業、自動車・船舶および航空機製造、証券、銀行、保険、職業育成など多くの業界・分野で、外資の持株比率の制限が撤廃または緩和され、海外の投資家のためにより多くの市場チャンスを創出した。

(つづく)


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