【縄文道通信第105号】統合値啓育──野生の精神回帰(前)
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(一社)縄文道研究所
代表理事 加藤 春一 氏NetIB-Newsでは、(一社)縄文道研究所の「縄文道通信」を掲載していく。
今回は第105号の記事を紹介する。縄文道の商標登録後(縄文道と統合値啓育 2023年1月16日商標登録済)、日本再生の為に一貫して偏差値教育から統合値啓育の必要性を提案してきた。
その背景には1998年から約20年間、エグゼクテイブ・サーチビジネスを通じて、約1万5,000人の経営者を含む優秀な人財と面談をしてきたなかで、偏差値と経営能力は基本的には余り相関関係がないことを実感し、経営者の転職で具体的に成功させてきた経験がある。
経緯は拙著の「能力Q セルフプロデュース」(ビジネス社)や、生産性本部出版の「グローバル人財養成塾」、みずほ綜合研究所発行の「超競争社会を勝ち抜く能力Q開発法」にて述べてきた。
縄文道研究所設立以降の日本の経済は、デフレの継続、GDPの伸び悩み、あらゆる指標で国際競争力の低下などの状況にある。さまざまな識者から解決方法、提言がされているが、いまだ最適な処方箋が見出せていない。また、世界的規模での情報通信革命の急速な進歩、AI,ロボット、CHATGPT等の新技術の出現にうまく対応できていない状況でもある。
かかる状況下、「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」(ダイヤモンド社)の共同著者で、一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏の分析と提言に注目したい。縄文道経営の提唱者として、氏の指摘しているポイントは正鵠を得ていると思うからだ。
野中教授は、過去約30年間の日本経済の失敗の原因として、経営者が(1)野生を喪失していることと、(2)共感性が欠如していることを指摘している。氏は、「この失敗から抜け出すには、経営者は身体知を回復させ共感を重んじる知を磨け」と主張する。
この主張は縄文道経営とまったく同じ視点である。
また、「サピエンス全史」の著者で、世界的歴史学者のユバル・ノア・ハラリ博士も、現代人が脆弱になりつつある原因を「産業革命以降、人類が科学技術の発展の恩恵を受けて、人間が本能的に持つ五感、や直観力が失われてきていること」と指摘したうえで、人類は今一度狩猟時代の歴史を見直すべきと」主張しているのだ。
野中教授とハラリ博士の主張には、縄文道が主張する「世界最古で最長の日本が誇る縄文文化で培われた野性と五感、六感を取り戻せ」という考えと共通性がある。すなわち、五感、六感、直観力を大事にする経営──縄文道経営と、野生的リーダーの育成が日本再生のカギとなるのだ。
歴史学者の梅原猛氏は、縄文文化が日本文化の源流、基層、屋台骨であり、日本の復元力のカギも縄文文化にあることを喝破していた。とくに戦後、日本を牽引してきた偏差値教育制度のなかでは、野生的リーダーは育たないと断言している。
現在置かれた厳しい環境変化を乗り切るリーダーシップをもち、経営上の多くの難問を解決していく人物を育てるには、偏差値教育は適合しなくなっている。正解を求める偏差値ではなく、回答を自らの思考力で考え、的確な判断を下す為には総合的人間力に基づく、統合値での評価が必要だ。
(つづく)
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