『脊振の自然に魅せられて』「道標メンテナンス作業」(3)
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11月23日(祝)に続いて、3日後の26日(日)に猟師岩山の支柱の入れ替えをした。西南学院大学ワンゲル部員4人の参加は決定していたが、OBの参加は筆者のみであった。筆者のみで学生たち4人と作業にするのに多少の不安もあった。2日前になって後輩の Hから手伝いますとの返事。彼は何かに付け手伝いをしてくれる頼りになる後輩である。ただ、3カ月前に肺癌の手術をしており筆者から積極的に声をかけていなかった。続いてOB会の事務局のT、OB会長Mが参加することになり、参加者は8名となった。これでスタッフが揃った。OB会長 Mは道標設置に初めての参加である。
集合場所は前回同様、野河内渓谷無料駐車場、午前8時30分。ここから学生たちの車1台、O Bは筆者の車に3人が同乗し、三瀬有料トンネル利用で猟師岩山の登山口となる金山脊振林道の小爪峠登山口へと向かった。有料の三瀬トンネルを出て国道263号から5km地点である。「登山口にデポしていたビニールシートに包んだ丸太を外して」と後輩たちに声をかけた。道具をそろえて、いざ小爪峠へと向かう。
小爪峠まで30分、そこから目的の猟師岩山まで20分。約1時間の行程である。小爪峠は福岡県と佐賀県を跨ぐ峠だ。福岡県から登ると、沢沿いの登山道を歩くこと2時間の行程である。従って佐賀県方面から登ると非常に楽だ。
金山脊振林道は標高500m地点を脊振山方面へと続いている。学生たちは丸太を2人がかりで軽々と肩に担ぎ、筆者よりも早く山道を登っていった。 OBたちも後に続いた。
小爪峠でいったん休憩し、猟師岩山へ向かった。猟師岩山は脊振山―金山の縦走路にあり、小爪峠から高低差100mを登ることになる。筆者は丸太を担いだ学生たちを追うが姿は見当たらなかった。それほど足取りが早いのである。猟師岩山の道標設置は15年前に行った。小雨のなか、学生たちが作業をやってくれたのを思い出す。
設置した道標は時々ボルトの緩みなど点検していたが、時間が経つと表示板はボルトが緩み、傾いていた。固定している場所が岩場というのもあるが、登山地図アプリのヤマップに投稿された写真を見て気になった。
作業に入る、まず表示板のボルトを緩める。この日は、後輩Hがインパクトドライバーを持参していたので、ボルト用の工具を付け逆回転で楽々とボルトが外れた。同じ作業を繰り返し表示板が外れた。外した表示板に水スプレーをかけタワシで磨く。花粉などの汚れが取れ表示板は新しく生き返った。この作業を見ていると、学生たちそれぞれに個性があった。細かく磨くもの、大雑把に磨く者。
手の空いている者が支柱の取り外しにかかる。岩場なので、地中深く固定していないが、なかなか掘り出せなかった。やっとのことで古い支柱を土中から掘り出した。15年も経っているのに、根元の腐食はなかった。新しい支柱の根本部分に防腐剤を塗り、古い支柱と入れ替える。防腐剤注入済みの丸太であるが、念を入れて根元に防腐剤を塗った。
作業をしていると、支柱を固定する横木2本を車のなかに忘れてきていた。「しまった!」、アゴ坂峠の作業に続いて、またやってしまった。忘れん坊の筆者である。しょうがないので腐食しかけた古い横木を代用し、2本目は枯れ木を使うことにして支柱の固定にかかる。掘った支柱の周りは岩だらけで固定するのに苦労する。小石を集め支柱を固定する。さらに土を被せ土台を固める。古い支柱をもちあげ根元を固める。筆者とHは道標設置には手慣れた作業である。Hが後輩たちにやってみせる。美輪明宏の歌にあるヨイトマケの作業である。昭和20年代生まれの者はこういう作業に慣れている。学生時代も似たようなアルバイトがあった。不慣れな学生たちは何となくぎこちない。支柱と支柱との間に手を挟みそうになる、「手を挟むなよ」と筆者が告げた。何とか支柱も固定できた。
作業中に男女の団体や2人ずれの登山者がやってきた。登山者たちはここで記念写真を撮ろうとしたが肝心の猟師岩山の道標がないのである。外した表示板を手にもって記念写真を撮っていた。「手にもってとれるのは今日だけよ」と筆者は登山者に声をかけた。
磨いた表示板は陽の暖かさで乾いてきた。表示文字に白ペンキで上塗りする。この作業にも学生たちの個性があった。板を岩場に置いて塗る者、板を手で持ち上げて塗るもの、それぞれであった。表示板の文字が乾いてきた処で表示板の取り付け作業に入る。インパクトドライバーのおかげで作業が早かった。取り付け作業が終わったところで、支柱全体に防腐剤を塗った。1戸建に家に住む OB会役員の2人はペンキ塗りに慣れていた。実に丁寧に仕上げて行った。
作業が一段落したところで休憩することにした。この日の昼食はロッテリアのハンバーガーにした。学生たちに気を遣って持参したのだが、ハンバーガーは冷えると美味しくなかった。作業は終了した。
(つづく)
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行関連キーワード
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